春。すでに通い慣れてしまった校門をくぐった今日、私は宮城県立烏野高等学校の高校1年としての生活が始まる。
クラス掲示の自分の名前を見つけ、もう1人の名前を探す。名前は確か…そう、日向翔陽。は行の名前を1組から探していくといとも簡単に見つかった。


「1組かぁ…」


なんだ、がっかり。神様もそこまではしてくれないの。
でも、放課後になればすぐに会える。そう思うと自然と足も軽くなった。





* * *





ジャージを積めただけの軽いカバンを肩に提げ、体育館への道を勢いよく駆け抜ける。いくつか勧誘されたがうまく撒いてきた。ちなみに、女バレにちょっと揺れたのは秘密。
足が勝手に向かう先は第2体育館。もう、先輩たちはいるかな。一昨日会ったばかりだけど、もう会いたい。だって正式に高校生になったんだもの、早く少しでも追い付けるように。


「でも、今までのぜんぶ…全部無駄だったみたいに言うな!!」

「!?」


扉を開けかけた瞬間に聞こえた声に思わず身を強ばらせてしまう。あれ、でもこの声どっかで聞いたような。扉の隙間から顔を覗かせると変わっていない小さな身体。
……にしてもこういう時はどうすればいいんだろう。日向くんとなにか言い合いをしている…。そうだ、北川第一中の影山飛雄。日向くんの相手チームの要セッターの彼だ。てっきり白鳥沢に行くと思っていたのに。
それより早く入りたいのに入れないじゃないか。1人扉の前に立ちすくしていると影山くんがこっち側のコートに歩いてきた。


「……!」

「!」


うわ、目合った。絶対今、コイツなにしてんだみたいな目で見た。声をかけようか迷っているとあっちから逸らしてくれた。助かった…がいったいなにが始まるんだ。
じっと見つめていると影山くんが飛び、思い切り日向くんに向かってボールを打ち込んだ。ボールはそのまま日向くんの横に落下。こんな力強いサーブ久しぶりに見た。しかもジャンプサーブだから余計に力がかかっているんだ。それに挑発されたように日向くんが立ち上がる。2球目、勢いよく飛んだそれに日向くんは素早い反応を見せ、正面でボールを捕え──…なかった。


「…やっぱりズラだったのか」


ボールは説教をしていた教頭の頭に当たり、見事に大地先輩の頭に被さった。天罰だ、大地先輩は悪くないのに先輩にばかり文句を言うから。


「…………」


てか、出ていくタイミング逃した。
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