「…っ、あ。うぁ…」

掠れた喘ぎ声が、森山由孝の口から漏れた。
床に這わされ、腰だけを高々と固定されて、背後から突っ込まれている。
硬い先端が深くまで一気に突き通り、それを受け止めきれずに身体が逃げを打つ。

「…っあ!んっ、あぅ、まっ、!みや、じ!んぁ…っ、はぁ、」

ぼたぼたと顎を伝う唾液が床に染みを広げる。
それを拭おうにも、手首を背後で縛られているため、上体を自分で支えることすらできない。
制止の言葉を口にしたところで、背後の男、宮地清志は腰を強く掴んで己のいきり立った怒張を送りこんだ。

「…ぅあ!っ、はっ、ぁ…」

容赦のない責めに森山の身体はかつてないほどに熱くなり、解放できないままの性器の先端からは蜜が溢れて濡れている。
根元をシリコンで括られ射精できないようにしてある性器を、宮地が撫でるように扱きあげる。
その指が動くたびに、中が蠢いて宮地のものをより中へと引き込むかのようにひくついた。

「んん、やぁ…!とっ、て!もう、外し、て!」

森山が懇願するように、背後を振り向くと不機嫌に眉根を寄せた宮地の顔が森山の視界に写った。
宮地は森山と視線が会ったのを知るなり冷ややかに微笑み、乱暴に突き上げた。

ーどうしてこうなった……!
何度となく繰り返された問い。

今日は宮地と久しぶりに休日が重なったため2人で出掛けて、そこで仲良く過ごしていたはずだ。
なのにどうしてこんなことになってしまったんだろうか。

理由もなく宮地がこんなことを自分に仕掛けるとは思えない。
何か理由があるはずだ。
それがずっと知りたいのに、宮地はまるで心を明かそうとしない。
涙と涎でぐちゃぐちゃになった森山の顔を冷ややかな目で見下ろし、宮地はゆっくりと唇を動かした。

「反省したか?」

まるで見に覚えのない言葉に森山の動きが止まる。
それに気づいた宮地の顔から表情が消え、縛られたままの性器に手をかける。
尿道口を指で弄られくちゅりと音が漏れた。

「ふぁ、!やぁ…っ!ごめっ、ごめんなさい!もっ、やだ!」

足掻きたくはあったが、抵抗すればするほど感じさせられ、快感の地獄に堕とされることは付き合い始めてからしかと身体に教え込まれていた。
森山はその責めから逃れようと謝罪の言葉を口にするが、宮地の目は未だ怒りを露わにしていた。

「へぇ…悪いと思ってんだ?俺が何に怒ってんのか、わかってんの?」

「へ…?あ、あの、待ち合わせ時間に遅れた…から?」

「違う」

宮地は強く言い放つと狙ったように前立腺を突き上げた。

「ぅあ!あっ、…っ、ごめんなさい!ごめんなさい!」

「だからお前は何に謝ってんだよ」

「っ、わかんない…、」

森山は快感にぐちゃぐちゃになった顔で振り向くと、そこには先ほどまでの怒りが嘘のように呆れた顔で見下ろす宮地と目が合った。
宮地は深くため息をつくと森山の中から性器を引き抜いた。

「お前、デートの最中ナンパしすぎなんだよ」

「は?」

「は?じゃねぇよ!お前今日だけで何回ナンパしたか覚えてんのか!?13回だぞ13回!」

「俺と宮地の背番号足した数だな…!運命じゃないか?」

おどけたように言うと、宮地は再び森山の後孔に性器突っ込んだ。

「っう!嘘っ、うそです!ごめんなさい!も、やぁ…!」

「反省しねぇなら、反省するまで躾てやらなきゃな?」

ゆっくりと宮地のものが動き出し、その張り出した部分が体内を嫌と言うほど擦り上げると、爪先まで電流が走るかのように快感が身体を支配した。
切実な欲望に駆られ、咽ぶような声で哀願せずにはいられなかった。

「もうっ、しないっ!誓うからぁ…っん、あっ、やぁ!イか、…っせてぇ!」

込み上げてくる射精感に駆られて、腰を突き出すように自分から揺すると、宮地が動きを速めた。

「くっ…は、ぁあ…ん、」

速くなった律動の末に、宮地が森山の腰を強く掴んで突き上げた。
力強く押し込まれ、ぐりっと先端が感じるところを抉り上げて、絶頂感とともに強烈な痙攣が森山の襞を襲う。
宮地は森山の性器に手をかけると根元を括るシリコンをゆっくりと外した。

「んぁっ!くぅ…っ、!」
ぞくりとたまらない疼きか尿道から広がり、森山は達した。
最奥に宮地が達した感覚を受け、森山の意識は深い闇へと沈み込んだ。


目が覚めたとき、森山は1人でベッドに寝かされていた。
よく見れば通い慣れた宮地の自室だ。
森山はゆっくりと起き上がり、自分をこんな目に合わせた張本人を探す。
そうしてベッド下でアイドルのライブ映像を幸せそうに凝視している宮地にふつふつと怒りが込み上げ衝動的に声をかけた。

「お前!人のナンパにはキレる癖に自分は恋人の心配よりアイドルのDVDが大切なのかよ!」

「あぁ?俺は良いんだよ。別に」

宮地はテレビを凝視したまま森山の方へ振り向くことなく気丈に言い返した。

「なんで宮地だけ良いんだよ!」

「森山が1番だからに決まってんだろ」

思わぬ反論に森山の顔が真っ赤に染まる。

だが、ふと森山は考え込むと次の瞬間には目を輝かせた。

「そうか…!あえて落としてから持ち上げることでドキッとさせるんだな…!
なるほど!次のナンパで使えそ…う…だな〜なんて…」

殺気と嫌な予感に森山の語尾が消える。
逃げようとした手を掴まれそのまま森山はベッドにうつ伏せに押さえ込まれた。

『森山由孝 振り出しへもどる!』



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