「という夢を見たんですよ…」

黒子はふぅ、とため息をつくと、目の前に座る青峰へと視線を向ける。

「いや、テツ…おめぇ…えげつねぇ趣味してんな…」

健康的に黒く焼けた肌を少し青白くさせた青峰は眉根を寄せ、黒子を見据える。
黒子と青峰の他に誰もいないこの帝光中学バスケットボール部の部室には、
時計の針の音と、黒子のため息だけが響き渡った。

「後悔はしてません」

「いや、ほんとにヤったみたいに言うなよ」

部活後に話がある、と黒子に呼び出された青峰が聞かされた話は、黒子が今朝見たという夢の話だ。
ただの夢ならまだ笑い飛ばせる。
だが、チームメイトを犯したという夢の話ならまた話は別だ。

「僕はこれから…どんな顔で赤司くんに会えばいいのか…っ!」

黒子は両手で顔を覆うと肩を震わせる。
小さなうめき声を漏らしながら困り果てる相棒の姿を目の当たりにした青峰はそっと震える黒子の肩を叩いた。

「んな落ち込むなよ。たかだか夢だろ?気にすることねぇって」

「それです。夢だとわかっていたなら僕は放尿プレイもぜひやっておきたかったんです」

顔を覆う指の隙間から青峰を覗き見ると、心底呆れたという顔が目に入った。

「テツおめぇ、ほんとはそんな気にしてねぇんだろ…」

怒気を含む口調で問いただせば、そんなことありません、と黒子も憤る。

「これから僕は赤司くんを見るたびに、僕の下で喘ぐ赤司くんがチラついてチラついて…いつかほんとに襲ってしまうかもしれません!」

だから青峰くん、と黒子は続ける。

「一回だけ抱かせてください!この抑えきれない欲求を、乱暴にしても壊れることのない青峰くんで抑えた…」

抑えたい、と続くはずの言葉は、青峰が机を殴る音で遮られた。

「テツ、相棒やめるか?」

青峰にしては幾分か静かな口調で問われる。
怒鳴るわけでもなく本気で怒りを露わにする青峰の前に膝をつくと、額を床に擦り付け土下座をする。

「冗談ですよ、青峰くん。怒らないでくださいッス〜」

「どこぞのモデルみてぇな口調になってんぞ」

黒子は顔をあげると、青峰の顔を見つめた。

「でも、君は赤司くんとは似ても似つかないので抱けませんね」

ふふっと声を出し笑うと、青峰がにっこりと微笑む。

「死ぬか?テツ」

優しく問いかけられぞくりと背筋を震わせた黒子は、また深く額を床に擦り付けるのであった…。






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