守りたいなあ 、
守ってあげたかったなあ 、
そんな風に思った。山の中腹の小屋で、これまでの旅路を嬉々として語るコトネをみて。
洞窟でさんざん迷ったとか。ロケット団の残党どもと戦ったとか。ライバルに行く先々でバトルを挑まれたとか。そいつに服を脱がされたとか。(ここ重要)
「脱がされた……」
「はい、本当に色々ありました!」
「脱がされた……」
「でもやっぱ冒険はいいですよね」
「脱がされた……」
「だから私、新しい旅に出ようかなって」
「!」
コトネは突然肩を掴まれ、びくっと身体を震わせた。戸惑いを浮かべた顔が可愛くて、愛おしくて。そうだ、愛おしい。よかった、再確認できたおかげで、言えそうだ。
「俺が一緒じゃ、迷惑?」
「え」
「危険な目にあわせない」
「え、え」
「守る。絶対、」
守るから、と繰り返すごとに、コトネは頬を火照らせた。軽く放心している。
「コトネ?」
夢みたい。そう細い声で呟いて、ちいさな身体を自分の胸に投げ出してきた。なんたる不意打ち。
「私、ホウエンに行きたいです!」
こんな頼りない両手で守り通すだなんて、馬鹿げた発想だろうか。武器はガラス細工の盾ひとつ。それでも、僕はゆかなくちゃ。
貧弱勇者さま
こんな寒い場所、今すぐ抜け出してしまおう。