さよなら。
想定内の四文字に眦が嫌に熱をもった。臆病すぎた私は、彼の背中を涙越しに見送ることしかできない。この感情をぶつけて縋りついてしまえたら、どんなにか幸せだろう。(だけど、あなたがあなたを取り戻しにいく邪魔をどうして私が出来るというの)
「……ぬ、N」
大きな白いシルエットが消えたのを見届ると、その場に膝をついてぼろぼろ涙をこぼした。私の優秀な自制心もそろそろ限界らしい。
「、ばいばい、N」
どうしようもない喪失感に潰されそう。いっそこのまま潰れちゃえば、楽になれるのになあ。
AU REVOIR.
それが完成された恋心なのだと自覚したいま、
(あなたはもうどこにもいない)