久しぶりに会ったその男は、昔と何ら変わらない絶対零度の眼差しで私を撃ち抜いた。偽名を使っているらしく、聞き慣れない名前を口にしながら口角だけ吊り上げる。背骨が凍りそうだった。目に見えるような絶対的な憎悪に、逆らうすべもない。


「こんにちはチャンピオン」
「、こんにちは」


今更復讐劇をする気配はないようだけれど、今更許す気もないようで。

私の幼い頃のヒーローごっこはあまりにスケールが大きすぎたのだと、うまく機能しない頭の片隅で改めて自覚した。悔やむわけではないけれど、どうしようもないこのやるせなさに行き場が欲しかった。


「悪の組織を壊滅した勇者様、ですか。お会いできて光栄ですよ」

べったりと貼りつけた愛想笑いに眩暈がした。(まるで道化者だ、)私とあなたに残された道は、もう全部泥んこまみれ。

大層かわいそうな私が返した愛想笑いは、皮肉にも彼に負けず劣らず完璧だったと思う。



Pierrot



残酷なあなたに恋してたと告げる私を、どうか鼻で笑いとばしてね。


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