ずっとこのまま。記憶の片隅で、ヒカリがか細くそう呟いていた。それがいつのことだったのかは、もうわからない。とりあえず、今よりうんと背丈は低かったろう。
その先に続く言葉は、なんとなくわかるんだ。ずっとこのまま仲の良いお友達でいようね。ざっとそんなところ。
(ずっとなんてない)
男女の友情は成立しますか、なんてありふれた質問を、テレビは今日も飽きずに繰り返す。俺は馬鹿だから答えを導き出すことなんて出来ないけれど、とりあえず俺とヒカリの間にはそんなキラキラした絆はない。訂正、なくなった。
それもたった今。
「何、それ」
睨んだような視線だった。責めてるのが痛いくらいわかる。彼女の望むような関係性をこの手で壊したってことも、ちゃんとわかってる。
(好きだ、って)
そんな陳腐な一言で
幼なじみだなんて都合のいい肩書にすがるのを、いい加減おしまいにしたかっただけなんだ。