流星群をみにゆこう。
そう誘われたのはほんの15分前で、ろくな準備も出来ないままこんな場所まで来てしまった。湖の近くにレジャーシートを敷いて、ふたりぼっちで寝転がる。
夜の湖はしんと静まり返っていて、気味が悪いったらない。背筋がざわつくのを感じて、隣に横たわるジュンの手をきつく握った。

「怖がりだなあ」

そういうジュンの声も心なしか上擦ってる。どっちが!なんて胸中で悪態をつきながら、ひたすら星が流れるその時を待った。


「……ヒカリ」
「なに」
「これ本当にくんの?」
「ニュースだともうすぐ、のはずだもん」

待つという行為が極めて不得意なジュンは、だんだん夜の帳にも慣れた様子でぺらぺら喋り出す。明日は何して遊ぼうか、星に何を願おうか、今日のことをママにどう言い訳しようか。他愛ない会話に、先程までの妙な緊張感もほどけていった。暗闇に、二人分の笑い声が溶け込んでいく。
どれだけ時間が過ぎたろう、私ははっとして空を仰いだ。


「−−ジュン!」
「んあ?」
「みて!」


僕らだけの星粒



願わくば、ずっと隣に


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