ちょうど一週間前に、彼がちっちゃな女の子から奪いとったピッピ。私の足元をふらふらさ迷った数秒後に、ふと呼吸をするのをやめた。ぱたり、足首にもたれかかる。生命を手放した証拠に、どんどんつめたくなる。硬直していく。


「結局それも使えませんでした」
「……そうですか」
「邪魔なので、捨てるなりしておいてください」

それだけ言い残すと、事もなげにランスさんは次の仕事へ向かった。吐き気がする。言いようのない感情が、喉元まで込み上げて、つかえるばかり。


到底理解できなかった。泣いてしまいたかった。彼が誰よりも憎かった。何よりの悲劇として、彼が誰よりも好きだった。(同時に喜劇だとあなたは笑った。)

あなたを許してなんてあげられない。きたない罪をオブラートで無造作にくるんで飲み下してしまえるほど私の喉は太くもないし、清らかな人間でもないのです。



脱ぎ散らかした秩序




正反対の思考回路で、澱んだあいに溺れてる




- ナノ -