ジュンはいつも私を置いてけぼりにする。ぶつかって転んで、たまにバトルを交えてから言いたいことだけ言って走り去っちゃうのがこの頃の定番パターンだ。誰よりも時間の無駄遣いが嫌いなひと。どうして彼がそんなにせっかちなのかって、きっともっと世界をみにゆきたいから。私はその探究心に勝てた試しがない。
だから次会った時には、
「……ヒカリ?」
全力でジュンをここに引きとどめてやるって決めていた。
ダッシュ寸前にタックルまがいの抱きつき攻撃を受け、ジュンは目を丸くしながら動きをとめる。背中に顔をうずめながら、作戦成功を喜んだ。なんだかひどく懐かしいぬくもりだ。
「なんだってんだよ」
お決まりの台詞を小さくぼやきながら、困ったみたいに笑う。そうして、こんなにも自分勝手な幼なじみを、やさしい両手で抱きしめ返してくれるんだ。
エゴイスト
きっとお互い様ね。