ロケット団が壊滅してから、もうどれだけ経つのだろう。四年、いや、五年程か。

私の生きる糧だったひとつの組織は、小さな少女によって壊された。そんなの想定外にも程がある。私の愛する世界は、子供のヒーローごっこの恰好の餌食だったのだ。


(……でも、一番の想定外は、)


すべての元凶であるその少女が、ぴったり寄り添って寝息をたてていることか。いつもは両脇で結んでいる髪も今はほどかれ、無造作に広がっている。顔立ちは、あの頃よりも随分大人びた。(中身がそれに比例していないのが問題なのだが)

「……ん」
「おや、起きましたか」

寝ぼけ眼で私を見上げる。ゆっくり髪を撫でてやると、幸せそうに目を細めた。

「ん、ちょっと寒いです」

そう言って少女は、私の胸に顔をうずめ、さらには細い足を私の足の間に割り込めてきた。彼女にとっては単なる体温の分かち合いでも、私には一種の拷問だ。


(これは、あなたが悪い)


そして、他愛ない朝の戯れははじまっていく。



MY GIRL


(前略サカキ様。)
(こんな私を、あなたはお叱りになりますか。)



- ナノ -