「勝ち、ました」
肩で息をしながら、少女は声を震わせた。メガニウムは、体を満身創痍にしながらも必死に雪を踏み締めている。その前には、自分の最後の相棒が力尽きて横たわっていた。
「勝ちました、勝ったんですね、」
七度目の正直だった。コトネは顔をくしゃくしゃにして泣いた。ドロップみたいに、涙が大粒になって頬をすべっていく。呑気だって自覚しながら、綺麗なそれにぼんやりみとれた。
(ああ、)
(これでようやく)
彼女に歩み寄って、涙を不器用な手で拭ってみる。すると、ようやく彼女は笑ってくれた。なんだ、僕がひたすら待ち続けていたのは、この子だったのだ。
「レ、レッドさん!」
「ん」
「その、また来ても、いいですか」
最強だなんて重たいフレーズにがんじがらめにされていたけれど、それがゆるやかにほどけてく。僕はたった今彼女に救われたのだ。
「もちろん」
精一杯の敬愛をこめて、僕は少女の額にくちづけた。
randez-vous
まだみぬ明日に、君が見えた。