「日曜日駅前集合でいいでしょ?」

『んー』


リツコがポッキー食べながら聞いてきたので、わたしは漫画を読みながら頷く。
これは自前の漫画だ。
学校に置きっぱだったので暇つぶしに読んでいる。


「あ、てかあたし土曜日暇んなったんだけどさぁ」

「彼氏とデートじゃなかったっけ?」

「そーなんだけど、なんか野球の試合見に行くからってキャンセルされた。マジいらつくよね、あたしは野球以下ですかっての」

『まあ野球以下なんだろうね』

「おい、そこは優しく、そんなことないよーって励ますとこだよ」

「リツコ、なまえにそんなん求めても無駄無駄。仮に振られたとしても嘲笑われるのが関の山っしょ」

「ちょ、冗談でも振られるとか言わないでよ、こっわぁ!」


うるさいなこいつら。
ていうか自分より野球優先されるって、わたしならビンタするけどね。
野球ってとこがまず気に入らないわ、まあリツコの彼氏野球部だし仕方ないけど。


「リツコ暇んなったんなら土曜も遊ぼーよ。そんでそのままリツコんとこ泊まって、日曜に買い物」

「いーよ。てか金曜日も泊まるとか言ってなかった?なに、あたしんちに二泊三日すんの?」

「プチ旅行だよね地元で」

「なまえはどーすんの、来るでしょ?」

『いやわたし土曜日は研磨んち行くから』

「え?研磨って誰?」

「孤爪じゃないの?アンタ最近仲良いもんね」

「えっ、孤爪?なに、家遊びいくほど仲良くなったわけ?付き合ってんの?」

『ねーわ、馬鹿か。漫画読みに行くだけだよ』

「なんだ、つまんない。でもまあ、なまえに彼氏とか…想像つかないよね〜」

『よけーなお世話じゃ』

「えー、じゃあ金曜なまえは泊まんないの?」

『泊まったらリツコんちから行かないといけないじゃん。リツコんちから研磨んち遠いし』

「土曜はぁ?孤爪と遊んだ帰りに来なよ」

『だから遠いんだって。わたしは日曜に駅前集合でいいよ』

「そんなこと言って、もしあたしとリツコがなまえの悪口で盛り上がっても知らないからね!?」

「なまえ大好きなユカがなまえの悪口とか…無理して言って泣いちゃうんじゃないの?なまえごめん〜!とかって」

「…あり得るね!」

『悪いけどその愛には答えらんない……ユカ、ちょっと距離置こうか…』

「何引いてんの、あたしはレズか!!」


ホントにレズかってくらいわたしのこと大好きなくせに何を怒ってるんだこの女は。
まあ、くだらない話ばっかしてるわたしたちだけど、小学一年生のときからずっと友達だし、大事っちゃ大事な存在である。二人とも。
だからと言って金曜日にリツコんち泊まって、土曜そこから研磨んち行って、漫画読んでまたリツコんち泊まりに、とか面倒くさいのでお断りだけど。


『てかわたし映画見たいんだよね』

「じゃあ日曜行く?」

「なまえが映画とかめずらし。何見たいの?」

『金魂〜さらばぼくらの金さん〜』

「アニメかよ、しかも少年マンガかよ」

「興味ないわ、それよりあたし、HE〜恋に落ちるかもしれねぇ〜が観たい」

「あー、あたしもそれ見たい」

『なんだそれ、なんだ〜恋に落ちるかもしれねぇ〜って』


恋愛ものとか映画館で観る価値ないだろ。
まず題名がサムイわ。
そんなんより絶対金魂〜さらばぼくらの金さん〜の方が面白いに決まってら。


「まー観る映画はジャンケンで決めればいーじゃん」


というリツコの発言によって、どっちの映画観るか論争は幕を閉じた。
ジャンケンとか、わたしが弱いの知ってるくせに。
嫌な女だぜ全く。


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