06

友達って何したら友達だ?
距離が掴めないな。

「身剣、飯行かん?」
『あ。上鳴くんじゃありませんか。ビリビリピカピカの。まるでピカチューを彷彿とさせますね、そのイカしたヘアスタイル!かわゆす。十万ボルト!』
「出せねえよ!!って、ボケはおいといて。とりあえずさ。何好き?食いもんとか」

上鳴くん。さっき、制服に着替えて教室に戻って来たら、話しかけてくれた男子。
とりあえずニコニコしておく。ニコニコしないと人に好かれないよ。ばっちゃんが言ってた。

『食べ物の中では、わたしはチョコが好きだよ。わたしはね。みんなは違うだろうけど。ホント好きなの、大好き。特にチョコを使ったケーキ。愛してるかもしれない。病める時も健やかなる時も、わたしはガトーショコラを愛してるよ』
「ガトーショコラな!うめーよな、一回食ったわ。他は?」
『焼きプリンとか。焼きプリンはいいよ。人を癒してくれる。なんたって、焼いてるからね。普通焼く?焼いちゃう?わたしはアレだよ。いややっぱりなんでもない。上鳴くんは?何がお好き?やっぱり、ピカチューかな』
「ピカチューは、食いもんじゃなくね?俺はね、ハンバーガーとか好きよ。帰り、一緒食い行く?」

ええ。ハンバーガー?
それより、上鳴くん。なんでさりげなく肩組んでくるんだい。
これ、普通?普通なら、いいけど。
距離が近すぎるのは、好ましくない。適正な距離。それがいい。
まあ、いい。わたしは帰らないと。
ご飯作らないと。自炊は命の源。そう。タンパク質!摂るぞタンパク質!

『ごめんカミーナリーくん。我輩、帰宅してブリをさばかねばならぬので帰宅するよ。いつか懺悔するから、今日ばかりは許してくれないかな?』
「懺悔!?いや別にいいよ懺悔しなくて!また今度デートしてくれれば!」
『で…デート?デートってあの都市伝説の…男女がお付き合いをで前提に会う、またはお付き合いしてる男女がフォーリンラブなあの、逢引のこと?ま…まさか!まさか恐れ多い!わたしにはまだ、まだ早いよそんなのは。カミーナリーくん、お知り合いから始めさせてください』
「おお…と、都市伝説!?身剣、不思議ちゃんか!それもまたいいなオイ!!んまぁ、いつかはデートしてくれよ!あ、あと。そのさ、カミーナリーくんて、変じゃね?」

お辞儀しながら右手を差し出したら、カミーナリーくんは笑いながら握ってくれた。
なんてこった。A組、いい人ばかりじゃないか!
神様、いたんですかアンタ。いい仕事するな。グッジョブ!最高だアンタは。


「柄叉ちゃーん」
『ハーイ。わたしが柄叉です』
「知ってる!もう帰る?一緒に帰らない?」
『え!わ、わたしと?わたしと帰路を共にしてくださるってことですかそれは。天使?もしかして透ちゃん。そなたは透明だから目視できないだけで…実は、純白の羽、背中に生えてる?』
「もー何言ってるの!生えてないよ!人間だよ!!」

と、透ちゃん…。この子、どこに羽を落としてきたのだろう。
わたしが探し出して返してあげよう。いつか必ず。

『そうと決まれば早く帰ろう。透ちゃんの気が変わらないうちに!ささ、こちらへどうぞ』
「わー、エスコートしてくれる!柄叉ちゃん紳士!?」
『かわいい!これはもう食べれる。透ちゃん、わたし鼻血でてない?興奮のあまり穴という穴からあらゆる体液が噴出しそう…』
「ちょっ、柄叉ちゃん!ヤバいこと言ってるよ今!女の子としてヤバいよ、というか人としてもうヤバい!!」
『透ちゃんはわたしのエンジェルだよ。マイエンジェル。そして心の友、ベストフレンドだね。これからもどうぞよろしく、身剣柄叉です』
「知ってるよ!嬉しいこと言ってくれちゃってさ!こちらこそよろしくだよ!!」

はあはあ、透ちゃんかわいい。

天使と一緒に教室を出る。
あ間違えた、透ちゃんと。
ステキだ。雄英にいればステキな毎日を送れそう。
最高。さすが最高峰。ヒーローの登竜門。
ダイスキ雄英。ナイスだ雄英。

『あ。先輩さよーならー!』
「え…?さ、さようなら……」

上靴からローファーに履き替えて下駄箱を出ると、先輩に邂逅した。
交友関係は広く!憧れの先輩後輩の関係へ!

「あの人、二年生?柄叉ちゃんの知り合い?」
『ううん、全くの赤の他人!初めて見た。誰だろう、先輩ってステキだよね』
「え…ええ?柄叉ちゃん、変な子だなぁ…」
『先輩!もう!意地悪〜!なんだよ後輩!ったくー可愛いヤツめ〜!みたいな会話、憧れなんだ。海辺を追いかけっこするのさ、いつか必ず』
「ふふふ!可愛い!それ、先輩後輩じゃなくちゃダメなの?」
『否。もちろんお友達とでもいいよ。あははーうふふーって言いながらさ。ほら。捕まえてごらんとか。待てやゴルァ!とか、ステキ!痺れるぅ』
「ねぇ1人、ヤクザみたいなの混ざってたよ?大丈夫?」

透ちゃんが心配してくれている。
優しいなあ透ちゃん。かわいい。
お嫁さんにしたい芸能人ナンバーワンだよ透ちゃんは。

「待って!?私芸能人じゃないよ!」

誰かとこうして帰り道を一緒に歩くなんて夢みたいだ。
友達ってなんなのかイマイチよくわからないけど、多分間違ってないはず。
だって楽しいし!最高の気分だし!
ほら!ニコニコが止まらないよ。
もっと友達が欲しい。目指すは100人、みんなで百人一首をするのがわたしの夢だ。
夢は何個かあるけど、全部叶えよう。
わたしは欲張りだ。とても。傲慢です。
知っている。だから頑張る。
そう。わたしは雄英で頑張る。そしてヒーローになるのだ。
愛されるヒーローに。

『いつか!』
「えっ、今度は何!?何がいつか!?」

なんでもないよ!ノープロブレム!モーマンタイ!心配いらない、わたしは元気です!

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