03

個性把握テストだと。
相澤先生、やりおるな。
さすが日本最高峰のヒーロー科だ。入学早々に生徒をふるいにかけるとは。
しかも入学式もガイダンスもなし!
ヒャッホイ!こりゃたまげた!

個性使用アリの体力テスト。
その概要を聞いて憮然とする。
不利だ!圧倒的不利!
わたしの個性、体力テストに全くもって役に立たない。
夢にまで見た雄英高校。ヒーローへの道。
入学数分で、閉ざされてたまるか。

「トータル成績最下位の者は、除籍処分としよう」

ここにきて追い討ち。ここまで来て追い討ち。
相澤先生怖い。恐ろしい。
爆豪くんがさっき、ソフトボール投げで出した超人的記録。それ見て、個性把握テストを面白いと言ったクラスメイト。
解せぬ。
連帯責任ってやつですか。大人はひどい。恐ろしい。

『大人はいつもぼくらのことをわかってくれない…ひどいや。ぐれてやる。盗んだバイクで走り出してやる。閑静な住宅街の窓ガラス割って回ってやる。いやでもバイクの免許持ってないな…一輪車にしよう!盗んだ一輪車で走りだそう。最善!帰ったら一輪車の乗り方調べよう』
「一輪車、乗れへんのや!」

隣にいたキュートなガールがブッと吹き出してつぶやく。
このガールはお茶子ちゃん!
さっき更衣室でオトモダチになってくれた!実質四人目のベストフレンド。
ついでに響香ちゃんや透ちゃんとも友達になりました。
というか、女子とは一通りお話できた。しかもファーフトネームで呼び合う仲に!!
すごい。すごすぎる、今日のわたし。ヒーロー科バンザイ!


『相澤消太先生!』
「…何だ」
『相澤消太先生に、ぜひとも提案したい種目があります。僭越ながら!』
「フルネームで呼ぶな」

第一種目の50m走が始まった。
脇にそれて相澤先生に挙手する。
乾いた冷たい目で見下ろされた。まるで氷だ。

『マグロの早さばきなんていかがでしょう!?』
「おまえ、頭は正常か?」
『正常でございます!いかがでしょう?』
「却下に決まってる」
『ジーザス!そんな冷たいことおっしゃらずに』
「魚の解体ショーに何のメリットがある。それ以前に21匹、どうやって取り寄せる。おまえにだけ有利な種目を追加する道理はない」

冷酷だ…非道。
まあ。わたしが無理を言っているのは百も承知。

「成績以前に、おまえに見込みはなさそうだ。よく適性試験通ったな」
『適性試験は、バッチリ満点です!』
「満点ではない」
『わたしはどうすれば。そうだ。先生の靴をお舐めしましょうか!』
「おまえにはついて行けん。向こう行け」
『はっ。仰せのままに、大佐!』
「誰が大佐だ…」

ギロリと睨まれたのでお茶子ちゃんたちの元へ帰る。すごすごと。
お茶子ちゃんには心配された。
いやはや申し訳ない。

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