02

今日は憧れの!日本最高峰の!高校の!ヒーロー科の!入学初日!
てことでランランスキップしながら登校して、ドアの前でベストフレンド緑谷くんと友情を深め、ドアを開けたら20名弱の視線に晒された。
すげえ目で見られてたけどきっとみんなわたしと友達になりたいんだろう。受けて立つよ!
とりあえず自分の席を探して着席した。
前の席にはベージュのツンツン髪の男子。後ろの席はまだ空席。右隣の席は黒髪男子。
よし、友達100人できるかな?

『初めまして!』
「お!!お、おお…初めまして…」
『わたし身剣柄叉と申します。フトドキモノですが、どうぞよろしく!』
「フトドキモノなんだ?フツツカモノじゃなくて…俺は瀬呂」
『セル!?』
「セロ!」
『惜しいっ!悔しい!!』
「く、悔しがる必要はどこにもなくね!?」

隣の席のセロくん。
きっといい人だ!
わたしと会話をしてくれる!高校はやっぱり、中学校とは違うな。
みんな優しい。わたしは感動した。

『仲良くしよう。セロくん。男女の垣根を越え、新境地へいざ!共に!!』
「お、おう…おまえすげぇブッ飛んでるけどまあ、悪いヤツではなさそうだし…仲良くしようぜ」
『こ…これは新たな展開!この短時間で友達が二人も…拙者、感激でござる!心の友よ!心の殿!殿、拙者の喜びの舞、たんと目に焼き付けてくれたもれ!』
「あ。ゴメン、やっぱちょっと考えさしてもらうわ。おまえヤバい。とりあえず、ヤバい」
『あ、それはキャンセルってことで?キャンセルってことでよろしいですか?』
「うん…いやまあ、なんか面白いしいいや。友達なろうぜ」
『自治会長!!』
「自治会長じゃねえけどな、俺」

友達、二人ゲットしました。今日はいい日。
この調子で。今日はすごく体調がいいのでこの調子で!
前の席の、髪の毛爆発ヤンキーに目が止まる。
いったれ、わたし。
すぐ目の前の背中を指でツンツンと突つくと、ベージュツンツン髪の男子は極悪な顔で振り返った。

「あぁ!?なんだよイカレ女!!」
『やあ!元気だった?久しぶり』
「初対面だろが!!」
『ちょっとしたジョークですよ。ミニマムジョーク。ねぇ、あなたお名前なんていうの?』
「だッれがテメーなんかに明かすか!!」
『トトロっていうのね!』
「爆豪勝己だ!俺は森の中に昔から住んでねえ!!」
『バクゴーカツキくん?もしかして、バクキくん!?』
「略すな!何がもしかして、だ殺すぞクソ女ァ!!」
『わたしの名前は、身剣柄叉。気安くポリタンクとでも呼んでくれたまえ!』
「誰が呼ぶか死ね!!」

何が不満なのかバクゴーくんは、さっきからずっと怒鳴りっぱなしだ。
そのうち頭の血管が切れて死ぬかもしれない。かわいそうだ。

『わたしもこれでオトモダチ三人。大台に乗ってしまった…高まる!わたしも、一端の女子高生だよ。みなぎる!』
「誰が!テメェの!友達に!なったんだァ!?あァ!?」
『え…無自覚?無自覚で友達をつくるなんて、爆豪くん…それはすごい才能だよ!驚異のコミュ力。うらやましい…きっと無我の境地ってやつだね。いいなぁ。弟子にしてください!』
「黙れテメェ次喋ったら殺す!イカれてんじゃねえのか、つーかイカレてんな!?」
『イカですか?そうだな、お刺身はあんまり…イカ飯は大好き。イカスミパスタは、まだ挑戦したことない。だけどいつかは挑戦し、乗り越えてみせます。そう、わたしが身剣柄叉、15歳です』
「この社会不適合者がァ!何ッでテメェみてーなのが雄英受かるんだ!汚ェ手使ったんだな!?そうだろ!?そうだって言えクソ女ァ!!」

失敬な。
わたしは正式に受験をして正式に入学した、正式な新一年生である。
全く現代っ子はどうしてこう怒りっぽいかね。

ふと、騒がしかった教室内がしんと静まり返った。
ありゃ?と思いドアの方へ顔を向ける。
そこには浮浪者みたいな男が立っていた。
ボサボサ髪に無精髭。首は灰色の布でぐるぐる巻きのその男は。マイフレンド、緑谷くんに絡んでいる。
生徒…ではなさそうだ。だって大人だし。
ううん。なんか、くたびれた人だ。
雨の日に地面に落ちて人々に踏まれまくった新聞紙みたい…おっと。例えが悪かったです。

「担任の相澤消太だ。よろしくね」

マイティーチャー!
そうだったのか、マイティーチャー。よろしくね?こちらこそよろしくねであります!
がしかし。
その後すぐ、わたしは奈落の底へ突き落とされるのであった…。

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