アロマなあの子 4/15
「こんにちは。あら、貴方いつもの…」 「…今日は貴方だけですか?」
たまに家の近くでホットドッグを経営している車が止まる。毎回ではないが、それに気づくと、足を運んで何本か買っている。いつも青年が中にいて外で少年がいるのだが、今日は青年ではなく少女が中にいて、外に少年もいない。
「ええ。今ちょっと用事で席を外しているんです」 「そうなんですか」
私はいつものようにホットドッグを頼むと、少女は慣れた手つきでウインナーを焼いて加熱する。
「ホットドッグお好きなんですか?よく来ますよね」 「いえ。そこまで好きではないんですけど、ここのはとても美味しくって」
嘘ではない。最初は腹の足しにでもなればいいと思い、購入した。しかし、予想以上にここのホットドッグは美味しかった。気づけばこの店のホットドッグの虜になっていた。
「ありがとうございます」
少女は嬉しそうな顔で微笑む。 会計をすまし、ホットドッグが入っている紙袋を受け取ると、少女は別の小さい紙袋を前に出す。
「後、これも良かったら食べてください」 「これは?」
少女の紙袋から、甘い匂いがわずかに香る。
「私が一人だけで店番してる時の裏メニューなんです」 「だったらそれの会計も…」 「いえ結構です。いつもご利用してくれる感謝と言うことで」 「そうですか。なら…」
この善意をありたがく受け取ろう。 二袋の紙袋を抱えて家に帰る。まず、何が入っているのか気になる。紙袋を机に置き、小さい方の紙袋を開けた。中には蜂蜜とチョコがかけられたホットケーキが二枚入っていた。
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