小説 | ナノ



アロマなあの子
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「こんにちは。あら、貴方いつもの…」
「…今日は貴方だけですか?」

たまに家の近くでホットドッグを経営している車が止まる。毎回ではないが、それに気づくと、足を運んで何本か買っている。いつも青年が中にいて外で少年がいるのだが、今日は青年ではなく少女が中にいて、外に少年もいない。

「ええ。今ちょっと用事で席を外しているんです」
「そうなんですか」

私はいつものようにホットドッグを頼むと、少女は慣れた手つきでウインナーを焼いて加熱する。

「ホットドッグお好きなんですか?よく来ますよね」
「いえ。そこまで好きではないんですけど、ここのはとても美味しくって」

嘘ではない。最初は腹の足しにでもなればいいと思い、購入した。しかし、予想以上にここのホットドッグは美味しかった。気づけばこの店のホットドッグの虜になっていた。

「ありがとうございます」

少女は嬉しそうな顔で微笑む。
会計をすまし、ホットドッグが入っている紙袋を受け取ると、少女は別の小さい紙袋を前に出す。

「後、これも良かったら食べてください」
「これは?」

少女の紙袋から、甘い匂いがわずかに香る。

「私が一人だけで店番してる時の裏メニューなんです」
「だったらそれの会計も…」
「いえ結構です。いつもご利用してくれる感謝と言うことで」
「そうですか。なら…」

この善意をありたがく受け取ろう。
二袋の紙袋を抱えて家に帰る。まず、何が入っているのか気になる。紙袋を机に置き、小さい方の紙袋を開けた。中には蜂蜜とチョコがかけられたホットケーキが二枚入っていた。


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