この男と付き合って、もう一年が経つ。

「ごめん!間がさしたんだ!」

目の前で土下座で頭をさげてくるのは、彼氏。
こんな情けない風景にも慣れた。ひとつ、ため息をついて玄関へ向かう。するとこいつは立ち上がって後ろから抱きすくめてくる。

「ごめん…もうしないから…俺には、遼だけなんだ…」

名前を囁きかけられれば、我慢していた涙がにじんでくる。

「霧人…」

俺が口を開けばこの茶番も終わり。
振り返って、霧人に抱きしめられて、キスをして、セックスをする。
ケンカのあとのセックスはいつもより燃えて気持ちいい、だなんて言うけど、ここ最近、彼の浮気発覚の方がセックスよりも多くなってしまった気がする。

「遼、遼…好きだ、好きだ…っ」

金色の髪を振り乱して、俺に快感を与えてくる。そんな霧人が可愛いのだ。俺は心底バカだ。
こんな浮気者に惚れて、何回も浮気されては傷ついて、泣く。
それでも離れられなくて。
また涙が零れた。
それを霧人はぬぐってくれる。強く抱きしめ、名前を囁く。

「遼だけ…こんなに、俺を好きにさせるのは、遼だけだよ…大好き、大好き…」

ちゅ、ちゅ、と何度も色んな場所にキスをする。慈しむように。こいつの甘い言葉、甘い仕草、甘い快感が俺を離さない。
汗ばんだ大きな背中に手を回し、彼の名前をつぶやくと、俺の身体にいる彼がまた大きく脈うつ。
まだ、好かれているんだなと安堵する。
好き、好きと繰り返しながら、揺さ振ったりキスしたりしてくる彼の言葉は嘘偽りない。それでも、それだからこそ浮気することがつらいのだ。理由がわからなくて。

「遼、遼、遼…っ、好き、好き…遼は、俺のこと、…っ好き?」

そう聞いてくる彼に、口付けをする。舌を絡ませれば、そんなこと忘れてしまうのが彼の長所だろうか。
好きだ。好きじゃなかったら、こんなに苦しくない。
でも、言葉にしてしまったら、取り返しがつかなくなる気がした。



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