なんなんだ、この状況は。
「んっ…っく…はあ、よし、のりぃ…んっんっ」
未だに夢だと祈っている。
だって、あの歩が。あの、純粋無垢な歩が。
頬を紅潮させ、かすかに腰を揺らしながら、愛しそうに、坂田のペニスを舐めているだなんて。
ソファーに坂田を座らせた歩が、床に膝をつき、なにやらカチャカチャと音をさせていると思ったら、顔が坂田の股間でかすかに揺れ始めた。よく見ると、そのグロテスクなものを握りしめ、舐めあげ、口に含んでいた。
吐き気がした。
坂田と歩がハグしながら、恋人のような会話をしていた時点で大分予想外の状況だったのに。
耳をふさいでも残る卑猥な水音。目をつむっても残る歩の恍惚とした顔。
「ちゃん、とっん、よし、の、っんく、あじ、しか、んはっ、しない、よ」
視界をとじても、勝手に聞こえる聴覚を恨んだ。
「んっ、ぷは…は…、義憲の…もっと、深く味見しても、いい?」
そろりと視界を光に向けて、やっぱり後悔をする。
歩が立ち上がったペニスにキスをしながら、シャツのボタンを外し、ベルトを外し。そして、下半身は何も身につけない状態になっていた。始めてみた歩のペニスはカウパーを溢していた。
ソファーに乗り上げ、指を舐めたと思ったら、何やら尻をまさぐっている。
男子校生活が長い僕は、嫌でも察しがついてしまう。
「ん、は…もう、我慢できない…義憲ぃ…いくよ…」
坂田は一言も発せず、ソファーに身体をまかせていた。その坂田の上にまたがり、歩は声をあげながら腰を下ろした。
「ああっ…!よ、しぃ…全部、入ったぁ…」
ちゅ、ちゅと唇をあわせる歩は坂田の首に腕を回し、何度もキスをする。そうしながら、歩はじょじょに腰を揺らす。
また僕は目を瞑った。
もう、僕の歩を壊したくなかったからだ。
「ん、あっあっあっ、んんっ…よしはっ、おれだけの、んはっあっ…」
ぎしぎしと鳴るソファーに気付かれないように、僕は玄関までたどり着いた。
「よ、しぃっ、しゅき…んあっ、しゅきらよ…あん、ああっ」
さよなら、歩…
ドアが閉まる瞬間に、僕はつぶやいた。