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特にそんなことは一切考えていなかった。気付いたら出ていた一言に俺も驚いたが、雄哉も驚いていた。

「今は、ダメだよ」

くすりと微笑み、頭を撫でられた。

「雄哉は…平気?」

ここ。と、そっとズボンのチャックのあたりを手のひらで撫でた。

「ダメだよ、樹海…」
「……俺とは、いや?」

顕らかに変化をみせるそこをやわやわ、と意識して触ってみせる。

「ばか、そうじゃない…樹海…テスト、でしょ…?」

は、と短くあつい息を吐いた雄哉の少し色づいた顔はなんとも言えない色香を放っている。煽られてしまう。首に腕を回し、耳に顔を近づけ囁く。

「明日、保健体育…なんだ」

エプロンが背もたれにかけてある椅子に雄哉は座った。その膝の上に向かい合わせに座り、唇に吸い付く。何度がするうちに雄哉も答えてくる。

「…俺、すっごい我慢してたのに……」

確かに。
会えばセックスしてたのに。それが一切していなかった。
思い出したらすっごいしたくなってきた。俺も体調不良も相まって、相当やっていない。毎日していたものを。

「我慢しなくていいよ」
「…明日に、とっておこう?だから、今日は…」

ズボンを寛げ、雄哉は自分のと俺のを取出し、やや勃起したそれを合わせて、大きな手のひらで包んだ。

「これで、我慢、ね?」
「えー……っん」
「ほら、樹海も…」

耳に吐息を吹き込みながら、甘く囁いた。ぞくぞくと脳が痺れる。雄哉の右手と俺の右手で、あつくなってきているそれを上下にさする。
雄哉は空いた左手で胸のあたりを撫でてくる。そして突起をかすめる。見つけられたそれをくにくにとつまみ、こねてくる。
にちゅにちゅ、とだんだんと粘着質な音と吐息が部屋を占める。
脈打つ雄哉を直に感じる。きっと雄哉も同じこと感じてるんだろうな。

「んっ…ね、ゆ…や…」
「は…な、に…?」

もたれかかりながら、喋りかける。首筋に吐息がかかり、くすぐったい。

「す、き?…ん、あっ、はぁ…俺の、こと…好き?」
「好き、大好き…ん、樹海しか、こんなに…好きになれる人はこの先も後もいない、よ…」

樹海だけ。

なんでこんなこと聞いたんだ。バカか。
泣きそうだ。
自分の指を噛み、久しぶりの快感を絶える。
ふ、とすぐそこにある綺麗な鎖骨に吸い付いてみる。一瞬、忙しなく動く手が止まったが、先っぽを親指で撫でてから、もう一度上下に動く。

「んっ…は、っふ…」
「…樹海、好きだよ…可愛い…もっと、声聞かせて?ふ…もっと、顔見せて?」

首筋に軽く吸い付かれ、布ごしに突起を攻めていた左手に頬を撫でられ、顎をつかまれた。
しょうがなく顔をおこし、見つめ合う。ああ、やっぱりこいつの顔、半端なくエロい。

「樹海…」

湿り気のある唇から自分の名前を呼ばれたが、それは自分の名前ではないように感じてしまう。
ゆっくりと顔が近づき、唇をはむ。次第にお互いの舌が絡まり、くちゅくちゅとさらに水音が鼓膜を刺激する。
煽られるかのように雄哉は腰を動かし始めた。
雄哉の亀頭が俺の裏筋をなぞるようにしてスライドする。

「あっ、んん…んっ」

くびれをこすり合わせてくる。俺も次第に余裕がなくなってきて、腰が勝手に動く。
絶え切れず、雄哉にしがみつき喘ぐ。耳元にかかるあつい吐息と、時に漏れる耐えるような声と自分の名前にさらに煽られる。
そうして、腰使いと手淫により、果ててしまった。久しぶりの射精後にくたりと雄哉に寄りかかりながら呼吸を静かに整える。
身体をおこして、手についた白濁をみるとそれは、相変わらず気持ちのいい手触りではない。
名前を囁かれ、顔をあげるとキスをひとつした。
その後、雄哉は自分の手についていた白濁を舐めた。

「…いつもより、濃いね」

樹海のも。そう言う雄哉はなんだか嬉しそうだった。
指についていた白濁を自分の下唇に少しこすりつけてから、雄哉の唇にあてる。まるで当たり前のことかのように下唇を舐めてから、口内を犯す。

「明日、いっぱいしようね」

あまく、それは嬉しそうに言う雄哉に若干照れながら、首を縦に振った。






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