駅についてから、携帯を手に取る。あ、電源落としてたんだ。
つけたと同時に震える携帯を操作する。今着いたものを確認すると、竹井さんだった。
ドキドキするなんて可愛いことはひた隠しにし、知らん顔をしながらメールを開く。

鍵は俺が持ってるけど、どうしたらいいかな?届けに行こうか?

そんな大した内容のメールではなかったけど、なんだか気恥ずかしい。
大学まで取りに行くことを打ち込んだメールを数回読み直してから送信する。ひとつ深呼吸をすると左脇からにゅっ、と男の子が覗きこんできた。

「あ、やっぱり樹海くんだ」

にこりとしたその小柄な男の子は以前おいしくいただいた男の子だった。頬がほんのりと染まり、愛くるしく首をかしげる、自分の可愛さ全て把握しているようなのは、確か由貴くん。

「由貴くんかー、驚かさないでよ」

愛想笑いで返すと天使のような笑顔で返される。

「こんな時間にこんなとこにいるってことは、樹海くんはサボり?」
「んー、行く気だったんだけどなんだかんだありまして…」
「じゃあ、時間潰し…付き合ってくれないかな?」

時間はそろそろ二限が始まるころかなって感じのまだまだ午前中。急にアイスカフェオレ飲みたくなった。思いつき。

二人で近くにあった喫茶店に入り、俺は予定どおりアイスカフェオレを頼み、由貴くんはホットケーキとホットココアを頼んだ。

「由貴くん、学校は?」
「今日はテスト返却日だったから、もう終わったの」

ふーふー、とココアに息を吹きかけながら、彼は答えた。

「さすが私立、テスト早いねー」
「うちは春季講習があるから、その準備のためだよ」

にこりと笑って、ちょっとずつココアを口に含んだ。
俺も一口飲んで、ストローでからからと氷の音を楽しむ。しばらくそうしていると、今度は質問をされた。

「さっき、誰からのメールだったの?」





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