何日ぶりだろうか。やっと風呂に入る。今さらながら、俺、臭かったよな…竹井さん、ごめんなさい。不潔だと思われたかな…
頭からシャワーを浴びながら考えることは竹井さんのことばかりだった。
まだ、ドキドキしてる
心臓の前で手を握る。
キスなんかいくらでもしてきたし、されてきた。キス以上に濃厚なことだって。
たった一度のキスが、忘れられなくなっている。
左手で、そっと頬に触れる。
たかが、ほっぺにちゅー。
なのに、なんでこんなに苦しいんだ。
右手で唇に触れる。
数えきれないくらい経験したキス。何日たっても、何人に上書きさせても消えない感覚。
また、竹井さんと、キスがしたいだなんて…
やっぱり俺はおかしい。風邪をひいているからだ。そうだ、きっとそうだ。
何度自分にそう言い聞かせただろうか。
やっぱり、目を閉じて思うことは竹井さんしかなかった。
竹井さん、竹井さん、竹井さん…
どうしよう。
「俺…」
わかんない。
けど、多分。
「好き、かもしれない」
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