「じゃあ、いいですよ。このままで」
多少苦しくてもしょうがない。だるくなくなったら、着替えればいい。
そういって、また寝ようとすると止められた。
「じゃあ、早くお願いします…俺、そろそろ限界…」
くたりとベッドが寄り添っている壁に頭をつける。
「わ、わ…わかった…」
すると竹井さんは俺の足元の方へ回って、布団の下に手を入れる。何してんだ、この人。
竹井さんの手らしきものと俺の足が触れた。
「よし、行くよ?」
そういって、竹井さんはぎゅっと目をつむって、ジーパンの裾を引っ張った。訳がわからないけど、とりあえず残った力で腰を少し浮かせるとその間にちゃんとジーパンは脱げてくれた。
「よっし!!」
竹井さんはさっきまで俺がはいていたジーパンを握ったままガッツポーズをとって喜んでいた。
「竹井さん」
「なに?」
「パンツ、もってきて下さい」
さっきまではしゃいでいた竹井さんは急に無表情になった。
「パパパパパパンツ、ですか…?」
「その紙袋の中にあると思います」
俺は着たものは自分で洗濯するよりもクリーニングに出す方が多い。一回着たものなら全て。
「あっ!よかった…」
ほっと安堵したように竹井さんは紙袋ごと持ってきた。めんどくさかったが、これ以上竹井さんにわがままは言えないかな。一応年上だし。
「ありがとうございます」
「どういたしまして。あ、そろそろ出来るかな…早くはきなさいよ〜」
竹井さんは晴れやかにまた姿を消した。
ジーパンと途中まで一緒に降りていってふくらはぎの当たりで残留してしまったパンツを、膝を曲げて脱いだ。それからパンツとスウェットをセッティングしてから足を通して、そのまま再び布団をかぶった。
つかれた。
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