気を失った綾ちゃんの身体を簡単に掃除してあげて、布団をかけてから冷やしたタオルをそっと瞼の上に置いてあげる。きっと今日中には腫れはひかないだろうけど、少しでもましになればいいな。
すやすやと眠る綾ちゃんの小さな手を撫でながら、床に座り、ベッドにうつ伏せになる。
正直、後悔してる。
セックスをして後悔することなんて初めてだった。
遊びだったの?本気だったのに!最低!と泣きながらビンタされたことだって数々ある。それを見ても、感情はひどく冷めていたし、くだらないと嘲笑う気持ちもあった。
「ごめんね」
今後、綾ちゃんに会うことはないだろう。そもそも雄哉にあのことを話すつもりは毛頭なかったし。
もう、綾ちゃんには泣いてほしくない。笑っててほしい。今日、俺が泣かした分の倍。
いつの間にか寝ていたようで、目が醒めたときには部屋には誰もいなかった。綾ちゃんがかけていた毛布は俺にかかっていた。
しん、とする雄哉の部屋は見慣れたもののはずなのに、知らない世界のようだった。
俺、なにしてんだ。
こんなに虚しい気持ちな理由はわからない。
冷たい気分のまま、精液のついたシーツと今まで着ていたシャツを洗濯機に放りこんだはいいものの、洗濯する気にも替えのシーツをひく気にもはなれず、帰ろうとした。ふ、と机の上のメモが目に入った。手にとって見ると、それは綾ちゃんの連絡先だった。くしゃりと握り潰して近くにあった小さなダストボックスに落とした。
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