カタリナ
- ナノ -

17 黒猫が憂鬱気味に笑う午後

※truthの時間軸です


前から少々気になっていましたが、アリシアさんは基本他人からの評価に無頓着な所があります。気付いていない訳じゃなくて、アリシアさんの中では『どうでもいいこと』として流してしまうだけであって大して気に留めてません。
まぁ、基準の感覚が鈍っているのか自分の容姿云々には少し鈍い所もあるみたいですけど。……いや、結構かもしれませんね。


「最近、特に外に居る時だけど何か視線を感じるのよね」

「え、」

「それってまさか……」

「うーん、黒月の監視でも赤い星座の監視でもないと思うけど。殺気は感じないし、気配の消し方が素人だと思う」


特務支援課の一階フロアで昼食を取っている最中、アリシアさんの口から突然軽い世間話をするような調子で爆弾発言が飛んできたものだから一瞬静まり返りました。この時期に私達の動向を見張ろとしている人と切っ掛けに心当たりがありまくりです。
ロイドさんやランディさんも一瞬険しい表情になりましたが、アリシアさんの言葉に安心したのかほっと溜息を吐いていた。というか、そもそも何でアリシアさんもそんな気配を感じられるんでしょうか。そちらの方が私としては不思議です。


「グレイスさん、とかじゃないよなぁ……」

「隠れるって器用なこと出来る人じゃねぇだろ。別にそんな視線、特に感じた記憶無かったけどな」

「あぁ、言われてみれば僕も感じたことあるよ。確か、アリシアと一緒に居る時だけど」

「ワジも気付いてたの?……ってそれもしかして、ワジのお客から勘違いされて私がその嫉妬に巻き込まれてるんじゃ」

「いや、マダム達も弁えてる筈だよ。僕に対して引きとめるのは無理だって分かってるだろうしねぇ」

「……俺が言うのもなんだけどホストがそんなんでいいのか」

「フフ、まぁね」


飄々としたつれない態度で接客するけれど、そこもまた女性の心を鷲掴みにするのかワジについているファンは多い。そしてそのワジは何かとアリシアに絡み、文句を言いながらも何だかんだ二人で居る事が多いのだ。この場合、アリシアがワジに付き合わされていると言った方が正しいのかもしれないが。

――素人、つまり一般人相手なら一番その線が強いと思いますけど。呆れた顔をして食えない笑みを浮かべているワジさんを見ていたんですが、斜め前に座っていたロイドさんが何かを考え込んでいるような様子だったので、不思議に思って首を傾げた。ロイドさんのこの顔を見る限り、捜査官の勘、というものが働いたんでしょうか?
けれどこの後、ロイドさんから出た言葉に今度は全員目を丸くすることになりました。


「逆のパターンっていうのは?」

「え?」

「いや、見方を変えればそういう方向性も見えてくるかなと思って。ワジは勿論そうだろうけどアリシアだって一目見たら目を引く位綺麗だし、魅力的だろう?俺だって初めて会った時はそう思ったし」

「ふふ、ロイドはまた面白い事言うんだから」

「へぇ、そう思った、ねぇ……?」

「ふぅん、ロイドもそう思ってたわけだ」

「へ、」

「自業自得です」


アリシアさん以外の冷たく冷え切った視線がロイドさんに突き刺さり、無言で彼を非難していた。どうしてこうロイドさんは意識せずにこんな恥ずかしいセリフをつらつらと並べられるんでしょうか。これで本人に口説いているつもりは無いんですから本当にタチが悪いです。
その天然ジゴロに落とされてきた女性は多いというのに、アリシアさんはやはり一貫としてロイドさんの口説き文句を全く気にしていないみたいなのか冗談と受け取って笑いながらさらりと流しているから流石ですね。でも、冷静に考えてロイドさんの言うことは強ち間違っていません。
本人がこの類を気にしないので誤解されがちですが、アリシアさんは世間一般的に美人と呼ばれる人の中に当然入る容姿をしてますし、……何と言うか……色気があって、ぐらまーです。これで成人してないって言うから色々とずるいと言わざるを得ないかと。


「その線は無いわよ。そんな酔狂な事考える人居たら見てみたい位だし、実際もしそうでもどうにかなるわよ。少し確認しようかと思っただけだけど大丈夫そうね」

「お前なぁ、イリアさんじゃあるまいし何でそんなあっけらかんとしてんだよ。……それに実際不良二人に絡まれてる訳だし、」

「フフ、誰のことかな」

「……ワジ……」

「そんなに気にする事じゃないのに悪かったわね。さて、仕事が始まる前にオーバルストアで調整でもして来ますか」


食べ終わった食器を重ねて席を立ち上がったアリシアさんはそのまま何時も通りの調子で特務支援課ビルを出て行ってしまいました。
あの自由気ままな所は相変わらずです。情報を提供してくれた本人が居なくなってしまいましたが、特務支援課としても気になるこの話、どうするんでしょうと扉の方から視線を戻すと先程とは打って変わってあまりに真剣な空気が流れていたので目を開いて驚きました。普段事件には特別な関心がなさそうなワジさんまで真剣そのものですし。


「で、実際どう思うよワジ」

「……ロイドの話の方が強いと思うよ。本人に自覚というか危機感は全く無いけどさ」

「それにアリシアさんは一人で居る時も感じて、ワジ君は一緒に居る時だけなんですよね?だったらやっぱり……」

「にゃあ」

「……?コッペの声?」

「コッペ?」


突然耳に届いたコッペの鳴き声に驚きつつ聞こえてきた方を見やる。どうやら扉の外から聞こえてきたようで、開いていないから中に入れないと鳴くコッペを入れてあげようと立ち上がって扉を開いた。普段は屋上に居る事が多いコッペが下の階に来て、尚且つこの正面扉から戻ってくるのは珍しいと思いながら足元に居る黒い毛並みの猫を見下ろしたのだけど。
コッペの足元にある便箋に疑問を覚える。何なんでしょう、これ。拾って裏返してみるのだけど、宛名も差出人の名前も何も書いていない真っ白な封筒で。形からして手紙?とも思ったけれど、手紙にしては少し重たいような気がする。


「これ、どうしたんだい?」

「……どうやらコッペが階段付近で拾ってきたみたいです。落し物なんでしょうか……、でもあそこの階段はこのビルか武器屋に用がある人位しか通りませんけど」


それに、武器屋は許可証を貰っている人しか尋ねて来ないから遊撃士や警察、警備隊員に限られる。そうなると特務支援課に用事があって尋ねて来た人でしょうか、と考えていたら手にあった便箋がひょいと取られた。驚いて見上げるとワジさんがそれを手に取っていて、同じように裏返して何も書かれていない事を確認して。
そして僅かに糊付けられた便箋を開けて中にある物を少し取り出したけれど、瞬間ワジさんの表情が険しくなったのが分かった。数枚確認して直ぐに封筒の中に戻してしまったけれど、今のは写真?


「さっきの話、依頼より優先に真剣に解決した方がいいかもね」

「おいおい、急にどうしたんだよ?……何か入ってたのか?俺にも見せ」

「悪いけどランディには見せないよ。あんなこと言ってたけど、アリシアがこの場に居たら流石にコレ送りつけてきた犯人、徹底的に締め上げられそうな物だね」

「もしかして今の写真……盗撮、ですか?」


思わず尋ねてしまった言葉に、再び静寂に包まれる。ワジさんは頷きもしなかったけれど無言の肯定、とでも言うように気まずそうな顔をしていた。……こういう事件になると真っ先に楽しみそうな人なのに珍しいですね。


「えぇ!?」

「それって完全にストーカーじゃないですか!」

「はぁ?いや、有り得なくもない話なんだろうけど……つか何で俺だけダメなんだよ。はっ、もしかしてあられもない姿が……」

「やらしいわよ、ランディ」

「まぁ、間違ってないかな。着替えしてる所を撮るなんて逮捕ものだろうし」

「え。」


ワジさんから飛び出た爆弾発言にぴしりと全員が固まった。ランディさんは分かりますがどうしてロイドさんが顔を赤くしてるんですか。
着替えって、つまりその、着替えな訳で。そんな事をするのは自室の中でだけだというのに、窓から写真を撮られていたってストーカー事件でも相当気持ち悪く悪質な部類なんじゃないでしょうか。黒月や赤い星座じゃないだけ良かったのかも知れませんが、これもこれで早急に解決しないとまずい気がします。ちらりとロイドさんを見ると、エリィさんに睨まれたのかだらしない顔を引き締めて、わざとらしく咳払いをした。


「このままだと悪い影響が出るし、警察官として仲間として見過ごすわけには行かない。解決したいけどアリシアは放って置けとかいいそうなんだよな」

「だったら黙ってやっちまえばよくねぇか?そんなけしからん写真を何枚も持ってるなんて言語道断だ!」

「ランディ先輩の動機は何か間違ってるような気がするんですが……」

「さて、どうしようかな。僕としてはただ大人しく身柄拘束っていうのじゃ気分が収まらないんだけどさ」

「……ワジ、お前割と怒ってるか?」

「さぁ、どうだろうね?」


何時もの笑みを浮かべながら真意を読ませないよう喋っているけれど、ワジさんにしては珍しく感情の揺れ動きが見て取れたから驚いた。アリシアさんの反応を面白がってからかっているだけだと思ってましたが、案外冗談でもなさそうなんでしょうか。
アリシアさんも適当に流さないで気にするべきだと思いますけど、話したら「個人的な問題で時間を割くのは勿体無い」とかさらっと言いそうですよね、あの性格だと。



「あれ、ロイド?ロイドもオーバルストアに用事があったの?」

「いや、午後の仕事もなかなか骨が折れそうだし、丁度オスカーが新作のパン出したって言ってたからアリシアも行かないかと」

「勿論!オスカーのパンって美味しいのよね。あ、こんな事言うとベネットが拗ねそうね」

「あはは、本当に食べ物好きだよな」


言葉の途中で食いつくように頷いたアリシアに、ロイドはほっと一安心したのか胸をなでおろす。見た目こそは綺麗だけど、こういう子供らしさも見られるギャップも好意を寄せられるポイントなのかもしれない、とまた口に出したらエリィ達に怒られそうな事をアリシアの隣を歩くロイドはぼんやり考えていた。
とりあえず誘導は成功したが勘のいいアリシアに気付かれないようにしなくてはいけない。ロイドとしては自分がこの役割を任されたのは意外だった。こういう役割はワジが引き受けるものとばかり思っていたけれど、予想外にもワジは犯人探しを引き受けた。

西通りに向かうと、昼食の時間帯もあってかテラスには人が沢山居て、パンの籠を持ったベネットが外に出ていた。


「やぁ、ベネット。パンを買いに来たんだけど、中で買っていった方がいいのかな?」

「!こっちで買って頂戴。こっちは私が作ったものだから」

「ふふ、相変わらず競ってるのね。んーどれも美味しそう…!ねぇリーダー、皆の分も、ってことで全種類買ってもいい?」

「はは、そう言うアリシアこそ相変わらずだよ」

「だめ?リーダーが言うなら遠慮しようとは思うけど……」


拗ねたような顔をするアリシアにロイドはばつが悪そうに頭をかく。本人は至って真面目に悩んでいるだけだし、全く意識していないのだろうがやっぱりこういう所が男心を擽るんだろうなぁ、と考えていたのだけど、突然アリシアが何かに気付いたのか顔を上げてちらりと後ろを振り返ったけれど、興味なさそうに再び視線をパンにやる。
もしかして、視線とやらに気が付いたのか?ちらりと目線だけ配って辺りを確認するけど怪しい人物は見えないし、視線も感じられない。……というかアリシア、鋭過ぎないか?
人に直ぐに紛れられる広場に通じている方の通路はノエルとランディが塞いでいる。センサー探知が出来るティオは西通りの何処かに潜んでいる可能性がある事も考慮に入れて西通りの《ベルハイム》の屋上でこっそり見張っていて、人通りも少なく逃げ道としては目立つ住宅街の方はワジが待ち伏せしている。


「これで満足!ガレージの方から戻れるけど戻る?」

「え?あ、ちょっとタリーズ商店に寄ってもいいか?クロスベルタイムズを買い忘れててさ」

「それ位お安い御用よ。読みたいだけなら私持ってるけど……収集してるのよね?」

「ま、まぁね」


パンを買って上機嫌なのか足取りが軽いアリシアさんとロイドさんは階段を登って店に入っていったのだけど、その際に感じ取った人の動きにセンサーの出力を最大にする。アリシアさん達が階段に向かって歩き出した瞬間、足早に住宅街の方に向かっていく人が居た。建物と建物の間の狭い通路に居たのか姿は確認できなかったけれど、タイミングの合ったあの動きは逃げようとしていたもののはず。


「エリィさん、犯人らしき人物が今住宅街の方に向かいました!追いかけましょう!」

「えぇ、ランディ達にも一応歓楽街の方に行ってもらいましょう!」


エニグマの通信機能を使って広場で待機していたランディさんとノエルさんに連絡を入れて、裏道から住宅街に続いている歓楽街に向かうよう指示を出す。私達も二人が見せの中に入ったのを確認して住宅街の方に急いだ。

……でも、逃げ込んだ先が住宅街って、ワジさんが担当している場所ですがある意味大丈夫でしょうか。


アリシアとロイドがこちらに近付いてきている事に気付いた犯人は住宅街に続いている道に入り、念の為に建物と建物の間の狭い通路を進んでいた。何時も一緒に居る事が多い青年とは違ったが、今回隣に居たロイドが特務支援課のリーダーであることは勿論知っていたから何時も以上に警戒心を強めていた。それと同時に湧き上がる嫉妬心に苛立ちが隠せない。


「姿の隠し方と逃げ足だけは流石に一級品だね」

「!?だ、誰だ……!」

「フフ、アリシアを追いかけてたなら僕の顔を知らないわけが無いと思うけど」


突然頭上から聞こえてきた声に驚いて青年が顔を上げると、そこにはアパートメントの屋根で待機していた涼しい顔をしているワジが居て、ひょいとそこから飛び降りてきた。ワジの言う通り、青年には彼の顔に覚えがあった。
特務支援課全員で行動している時以外は一人で露店巡りをしている事も度々あるけれど、それ以上にワジと二人で行動している事が多い事を青年は知っていたからこそ、自信満々にそう言いのけるワジに対して嫌悪感を露にする。


「案外歳も近そうじゃない。アハハ、若気の至りってやつは怖いね。ま、あぁ見えて住民に対しては警察らしく心配り出来る性格だし、もしそれで会ったなら惚れる気持ちも分からなくはないけど、さ」

「知ったような口を……!お前みたいな奴が彼女に近付いてるだけで虫唾が走る!」

「フフ、同意見だよ。僕でさえ全部は知らないのに知ったような口を利かれて、それに加えてあんな写真まで撮られて。流石の僕でも我慢の限界はあるんだよね」

「え――」


ポケットに忍び込ませていたサバイバルナイフを取り出してワジと対峙していた青年だったが、瞬間、視界がぐらりと揺れた。

一瞬で目の前から消えたと思った時には蹴りによって身体に衝撃が走り、目の前に火花が散って飲み込まれるように意識が飛んでいった。そのままどさりと地面に倒れこんだ青年を見下ろし、ワジは溜息を吐いて地面に転がっているサバイバルナイフと青年が持っていたカメラから記録回路を抜き取った。
――アリシアはよくも悪くも自由な行動が多い。クロスベルに来た初日なんて名前も知らないヴァルドに買ったもの半分渡すし、本人には何てことない行動が色んな切っ掛けになっている事の自覚は無い。鋭いくせしてどうしてこういう所は若干ずれてるかな。そこが良い所でもあるんだろうけど、僕としては少し肝が冷えるかな。


「ワジ君!そっちは……あら、」

「……やっぱりもう終わった後でしたか。ランディさん達ももう来ます。それにしても随分、手痛く懲らしめたみたいですが…?」

「まぁ、少し手加減し忘れたかもしれないね。気を失ってるし暫く目は覚めないと思うよ」

「当然の報いと言ってしまえばそうなんでしょうけど、案外若かったのね」

「ティオすけ達居た――って終わってんのか!?」

「ランディが来たことだし、ここ任せたよ」


ちょっと待て、とランディが引き止める間もなくワジは西通りの方に戻って行った。仕方がないと倒れている青年を見下ろして、服に付いた跡から鳩尾に一発強烈な蹴りが入れられた事に気が付いたランディは苦笑いを浮かべた。

――案外、分かりやすい所もあるんだな。


ロイド達に合流する為に西通りに戻ると、タリーズ商店に居た筈の二人は外に出ていて、まるで僕らの誰かがここに戻って来るのを待っていたかのように柵に寄りかかっているアリシアが居て、ロイドは苦笑いを零している。これは僕が説明するまでもなく、ばれてたみたいだね。
まさかストーカー行為だけじゃなくてあんな悪質な盗撮までされていたとは流石のアリシアも思っていないだろうけど。


「タリーズ商店に行った時に視線が消えたし、違和感って程でもなかったけどロイドがエリィ達を放って置いて私を誘う事自体が正直おかしいと思ったから」

「え、何だよそれ!?」

「成る程ね。あぁ、犯人はもう捕まえてランディ達が居るからリーダーの確認を頼むよ」

「分かった。けど皆頑張ってくれたのに、何か俺がこの役割って申し訳ないな」

「アハハ、ある意味一番大変だったんじゃない?」

「ちょっと、何よ大変って」


不満そうに顔を顰めたアリシアは文句を口にするがロイドを見送った。その手には沢山のパンが入っているらしい袋が握られていて毒気を抜かれる。大してストーカーの事も気に留めていないみたいだし、むしろこんな事に時間を欠かせてしまったとさえ思っているだろう。何処までも無頓着だけど、ちょっとは反省してもらわなくちゃね。


「アリシアが予想してたより余程タチが悪い犯人だったよ。君って特に厄介な人間を筆頭にもてるよね」

「それ褒められてるの……?というかタチ悪いってどういうこと?」

「これ、何だと思う?」

「便箋……?ってその中に入ってるの写真!?あ、ちょっと!」

「フフ、今回の反省としてこれは僕が預からせてもらうよ」


ティオから預かったまま持っていた開いた便箋から覗く写真の存在に気付いた瞬間、アリシアは目を開いて素早い動きで奪おうとするが、直ぐに腕を上げて避けた。
中身こそは見られていないだろうけどそれが盗撮された物だと即座に判断したから回収しようとしたみたいだけど、甘いよ。
僕はアリシアより背が高いし、これを見せる訳にはどうしてもいかないからね。流石に恥ずかしいだろうし、もしかしたら犯人半殺しにするかもしれないし。アリシアも諦めたのか頭を抱えて項垂れている。


「これに懲りたら暫くは僕と一緒に行動してもらおうかな」

「何でそうなるの……!それ見る限り懲らしめてくれたのは感謝してるけど、ワジのはなにか違うのよ」

「フフ、そうかな?狙ってる人間にとってはそれが一番堪えるみたいだからさ。まぁ、確かに面白くは無いよね。僕だって今回は寝首をかかれた気分だし」

「?何でワジが?」

「さぁ、アリシアはまだ知らなくていいよ。行こうか」

「そうやってまた誤魔化すんだから……」


――それに、まだアリシアは分からなくていい事実だ。男の嫉妬や独占欲は醜いっていうからね。


―――――――
フリリクより『ストーカー事件に他の特務支援課が奮闘』です。
特務支援課が、と言うよりワジじゃないか…?とも思いましたがそりゃあ美味しい所を持っていってもらいませんと!ということです。
あと初めてティオ視点も混ぜてみました。ロイド、ランディ、リーシャはあったけど案外特務支援課女子視点が無かったので初の試み。

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