終わらない恋になれ
▽紫原
"私とお菓子どっちがいいの!?"
"んー、今はお菓子かなー?"
"ッ!むっくんなんかもう知ら ない!もう別れる!"
―俺、何か悪い事言った?
「アツシが悪いな」
「何でー?室ちん」
「それは自分で考えるんだ。
そうしないとまた彼女を傷付けてしまうかもしれないからね」
「…意味わかんないしー」
そう言ってサクサクとまいう棒を食べるのを再開する紫原。
「はぁ…じゃあ一つだけ言うよ。
アツシがお菓子がいいと言った時、彼女はどんな顔をしていた?」
…何だったっけー? あ、
「すごい泣きそうな顔してたー…かなー?何かあったのかな?」
…全く、アツシは本当女心がわかってないんだな。
「アツシ、それだよ。彼女が泣きそうな顔をしていた、それが一つだ」
「……」
室ちんわかりにくいなー…。 室ちんに聞いた俺が馬鹿だったかも…。
「まー放課後、心愛ちんともう一回話してみるわー」
「(…心配だな)」
*
『…何、話って』
「俺、心愛ちんと仲直りしたいんだー」
『…私はしたくない!』
やっぱり心愛ちん怒ってる。
「心愛ちん、何で怒ってるのか教えてくれない?たぶん俺が悪いと思うから」
『!!…もうヤダ、むっくんなんか嫌い!』
心愛はそう言い、走り去ろうとした。 が、紫原が心愛の腕を掴み、それを阻止した。
「…心愛ちん、ごめん。教 えて?」
後ろから優しく抱き締める。
『ぅ…ひっ、く…だって、 むっくんが、私よりお菓子の方がいいって言うし…それに、さっきだって…たぶん悪いなんて、無責任すぎるよ!』
「ごめん、ごめんね心愛ちん…」
『でも、むっくんの事大好きで…!』
「!!」
俺はその時、自分が馬鹿だった事に気付いた。
「ごめん…心愛ちん。ごめん、ごめん!」
『もう、良いよ…』
心愛ちん、俺と別れるの?
嫌だ嫌だ。
お願いだから別れないで…。
俺を、一人にしないで…。
俺は彼女を正面に向かせ、一層強く抱き締めた。
「心愛ちん、俺謝るから…だから別れるなんて言わないで!」
『むっくん、私は別れるなんてさっき言ってないよ』
「…え?」
『この前言ったけど…でもそれは…取り消してくれるかな?』
「もちろん…!」
俺は一生彼女を離さない。 彼女が俺を拒んでも。
…大好きだよ。
甘い甘い
―口付けを交わした。
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