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愛故の過ち



「お前は誰のモンだ?」

そう、いつだか聞かれた気がする。
その時は『私は私のものだよ』と、普通に答え た。

何が間違ったか、何処で食い違ってしまったかな んか、私は知らない。
ああ、でも…オカシイのは君だけじゃないんだよ。
私もね、オカシイの。



――――



夏とは言え熱帯夜ではない限り夜は涼しい。
室内の蒸し暑い空気を外に逃がすため私は自室の 窓を開けた。


『…また…鉄の匂い』


ふと鼻をつつく、独特な鉄の匂い。
この所ほぼ毎日だ。

一体何が起きてるかなんか知らなかったその頃の 私は、さして気にした様子もなく日々を過ごして いた。

だが、ふと気がついたのだった。
《何か》がオカシイと。

その時は気づかなければ良かった、そう心から思った。
でも今はそうじゃない。
今はソレに気づいて良かったと思っている。

だってソレは私の愛する人が、私を愛してくれているという証拠だからだ。


『真、愛してる。
永遠に私と居てくれるよね?』


そう私の隣に転がる《躯》に問いかける。
問いかけた所で、眠っている真から返答はないの だが。


『ねぇ真、私の名前呼んでよ。
愛してる、って言ってよ…


毎日言ってくれたじゃない。
《心愛、愛してる》って』









―――


其処は真っ赤に染まっていた。
気がついたら、そうじゃない。
オレがやったことだ。
恐怖なんてない。

あいつを、――心愛を守れるためなのだから。


「お前はオレのモンだ」









故の過ち
(愛してる)
(永遠に)

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