うそつきが奏でる
彼女の得技は“うそ”。せやからワシにも何が本当で何がうそのかわからへん。何でやろな、それでも彼女を一番知っとるんはワシや。
『今吉』
「なんや?」
『ううん。なんでもないよ』
ニコリと笑う。その笑みが嘘か本当か。やっぱりわからへん。うそつきの彼氏っちゅーんも結構大変やな。かわええから許すけどな。
『今吉、』
「おん」
『心愛。今吉心愛!』
「!ど、どないしたん!?」
『んーなんとなく!私たち付き合い始めて結構立つからさ』
語呂合わせみたいな?とまた笑う。ほんまオモロいやっちゃ。ワシは心愛のそんなオモロいところと、愛らしさ、そしてうそに惚れたんや。
もちろん、落とすには苦労したで?ワシの気持ちに気付いとってワザと焦らすんや。しんどかったわー。
「せやな、今吉心愛や」
『ふふっ』
ニコニコと笑っていたかと思えば、突然悲しげになったり怒ったり。彼女の機嫌取りは大変や。せやけど、ワシが心愛を、彼女を好きで居る以上心愛の言うことは聞くし、ウソにも騙される。
『翔一は私のこと、好き?』
「おん、好きや。愛しとるで」
『嬉しい。じゃあ私のこと嫌いにならない?』
「ならへんよ、一生」
『大袈裟だよ』
彼女の機嫌取りは大変、でも簡単や。自分の気持ちに素直になれば、心愛は喜ぶ。自分自身がうそをついているせいか、他人のうそも分かる。ワシの最高の彼女。心愛以外はあり得へん。
うそつきが奏でる
(最高のラブソング)
(ぼくときみで一緒に)
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