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美味しい時間

紫原
調理実習





この学校の技術と家庭科は少し特殊で
一クラスを半分の人数に分けて行う
つまり、一時間の中で技術をする生徒、家庭科をする生徒とでわかれるのだ
しかも男子だから技術、ではない
平等に分けられている
また、違う時間の時にはその反対の時間を受けられるようにもなっている


それで今日私、純愛は家庭科で調理実習がはいっていた
全体の人数が少ないから班の人数も少ない
手持ちぶさたになる生徒を減らすための対策なのだろうか



そして家庭科の時間
エプロンをもって移動
調理実習室のホワイトボードにどこの台を使うのか、名前が書いてあった
(えーっと…あ、あった…一番後ろか、同じ班は…え)
調理台を表す四角の中に純愛の名前の他には紫原の文字が
(紫原くんと…!?)
お菓子作りは得意な方だ
けれどもあのお菓子大好きな紫原くんが食べると考えると気を抜けない
というよりは
(好きな人と一緒なんてすっごく緊張するってゆーか失敗できない!!)
ああぁぁと調理台で悶々としていると
「あー純愛ちんと〜?」
やっぱりお菓子を食べながらやって来た紫原くん
『え、あ、うん!よろしくね…』
挙動不審だったかしら…
いきなり声かけられてビックリした…

すると授業開始を告げるチャイムがなり
先生が入ってきた
「……じゃあ、怪我には気を付けて美味しく作りましょうね
わからないことがあったらいってちょうだいね」
一通りの説明を終え、それぞれが振り分けられた台へと行き
手を洗い作業に取りかかる

『よし、んじゃやろっか!紫原くん』
先生の話を聞いていたら少しは落ち着けて、いつも通りやれる!と意気込んだ
「ん〜、俺作ったことないよ〜?」
エプロンをつけながらそういう彼
『あ、そうなんだ?私作ったことあるからサポートするし…ゆっくり作っていこ?』
ね!と笑いかける
今日は幸いそこまで難しくないシフォンケーキだった

「ん〜がんばる〜」
へへと笑ってくれた
(かわいい…っ)
きゅーんとなりながらも顔に出さないように必死に耐える
『じゃあとりあえず手洗ってー…』

一つ一つの作業を説明しながら一緒にやっていった

生地が出来上がり、型に流し入れる
中の空気を抜くためにトントンと型を落とすのが少し楽しかったのか何度もしていた
『紫原くん、もうそれいいよ
それだけやってくれたから空気抜けてるね』
くすくすと笑いながら、暖めておいたオーブンで焼いていく
ここからは少し暇になる
焼き上がるまで約20分
とりあえず洗い物をしていく
洗ったものを拭いていってくれる紫原くん
『ありがと!』
というと「…ん」とだけいってくれた

道具も片付け、あとは焼き上がりを待つだけ
オーブンをのぞくと…
(わぁ…膨らんできてる!よかった!)

ちょうど食器をもって帰ってきた紫原を呼んだ
『紫原くん!ちょっと!』
こいこい、と手招きをする

「?純愛ちんなーにー?」
台に食器をおいてこちらへ来た紫原
純愛と同じようにオーブンをのぞく
「わー、すげーし!やべーし!」
はじめて作った大好きなお菓子がこんなにむくむくと膨らんでいく様は見たことがなかったのだろう
テンションが上がっている
「純愛ちん、お菓子作りって楽しいね〜」
と満面の笑みだ
『そうだね、すっごく楽しい!』
にっこり笑い返す


結局焼き上がるまでオーブンを眺め続け

チーンとオーブンが焼き上がりを教えてくれた
『あ、焼けたねぇ
出そっか!』
オーブンを開けてオーブンバサミでつかんで取り出す
と、紫原がケーキクーラーの上に型をおいてくれた

『あ、だめだよ
シフォンケーキはこうやっておかないと…』
くるっとひっくり返して逆さにおく
なんで?と不思議そうに見てくる紫原
『こうやっておかないとぺっちゃんこのシフォンになっちゃうよ〜』
というと、想像したのか
「やだ!」と少し涙目
『大丈夫だよ、こうしていれば』
ふふっと笑う


あら熱もとれ、型から出せそうなので
取り出した
型から出てきたシフォンケーキはめもつまっておらずふわふわだった
「おいしそ〜」
目をキラキラさせながら見つめる紫原
『ちょっと待ってね〜切るから』
あ、その間に紅茶お願いと前に準備されてある紅茶をいれてきてもらった
十六等分にし自分のお皿に一切れ、紫原のお皿に二切れのせてあげた
泡立てておいたホイップも添えて…
『よーし、完成!』

ちょうど紫原も紅茶をついで戻ってきた

できた班から食べていいとのことなので
『紫原くん、食べよっか』
フォークを差し出して言う

「うん食べる〜」
受け取ったフォークは使わず
手掴み
「ほいひ〜(おいし〜)」
口一杯に詰め込んでまるでリスのように頬張る紫原
少し唖然としながらも喜んでくれたならいっかとシフォンケーキを口に運ぶ
(うん、ふわふわにできた♪おいしっ)
出来ばえに満足しながら食べていると
「純愛ちん」
紫原に呼ばれる
『なに?』
と横を向けば
「あーん」
と口を開けている紫原
『え、と?はい…?』
とりあえずケーキがほしいのだろうと思いフォークに刺さっていたシフォンを口に入れてあげた
ちらと紫原のお皿を見るとすでに二切れはなくなっていた
(はや…)

「ん〜おいし
…純愛ちんお礼〜」
といって

ちゅう

頬にキスをしてきた

『〜〜〜!!??!』
訳がわからなくて真っ赤になって口をパクパクするしかできなかった
「純愛ちん真っ赤〜イチゴみたい
おいしそ〜」
ケラケラと笑う紫原

「ね、今度は俺だけのために作ってきてよ」
子供っぽい笑いかたではなく、大人な色っぽい笑いをする紫原

その色っぽさに魅了され声がだせず
コクコクとうなずくしかできなかった
けれどもそれをみて
また楽しそうに笑う紫原

(反則よ…)


大好きなあなたが喜んでくれるなら…



―――――
捏造ですね
捏造しかないですね(笑)

シフォンはそれなりに簡単なケーキだと思ってます!はい
焼き時間は適当なんで…
気にしないでくださいね

紫原も純愛ちゃんのこと好きなんですよ
じゃないと作ってきてとは頼まない
そういう子だと思うんですよむっくんは!

ではでは
最後まで読んでくださった純愛様!
ありがとうございました!

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