「○○くぅ〜っん!」
「ちょっとお願いいいだらぁか〜?」
昼食を終え、アラくんと食堂で机を挟みダラダラと過ごしているとミヤギくんとトットリくんの猫なで声が聞こえふいに視線を横にそらした。
ガラスの容器を両手で持ちニコニコと笑う彼らと目を合わせては負けだ。
「今日も〜かき氷作ってくれると嬉しいべ〜」
「僕らを〜救うと思って〜よろしくおねがいします!」
「…嫌だ!能力とはいえ自分の体から出た氷を他人に食べさせるって本人からしたらすっごい気持ち悪いんだよ!?
大体かき氷なら食堂のメニューにあるじゃん!それ頼んでよ!もう!」
「なんでかき氷食うぐれぇで200円も払わなきゃいけないんだべ!?」
「そうだっちゃ!○○くんに頼めばタダで美味しいかき氷を食べれるから僕らぁはこうやってお願いしてるんだっちゃわいや!」
「うわっ2人の汚い部分が垣間見えたよ!何て言われたって絶対に嫌だからね!」
立ち上がりその場を離れようとしたが、2人に押さえ込まれてしまい結局元の位置に戻されてしまう。アラくんはいつの間にかどこかへ逃げてしまったようだ。なんて薄情な。
お恵みをと嘆く彼らに深い溜息が出た。
前に、あまりにも暑い暑いと項垂れるミヤギくんに情をかけてしまい、食堂のおばちゃんにかき氷機を借りて作ってあげたのを味にしめたようで、最近ではトットリくんも加わり毎日私のところにお願いしにくるのだ。
だんだんと視線が冷たくなってきたおばちゃんにかき氷機を借りる私の身にもなってほしい。
「こうなったらしゃあないべ…○○!かき氷作ってくれたら、プリン一個奢ってやるべ!」
「えっプリ……!そ、そんな手には乗らないから!乗らないからね!」
「じゃあ僕とミヤギくんで2つならどうだっちゃ!」
「うう……やだってば!」
隣から聞こえてくる悪魔の言葉に耳を傾けまいと必死に壁の方を向く。というか、プリンにお金を払うくらいならかき氷を買えばいいのに。
なんだか、そこまでして私の作ったかき氷を食べたいのかと考えると、嫌な気はしなくなってきた。
チラリとミヤギくんたちの方を一瞥すると本気で困ったような顔をしながら両手を合わせていた。
「…トットリ…割り勘すんべ…」
「だっちゃわいや…○○くん!プリン3つでどうだらあか!」
「・・・今日だけだからね」
ため息混じりでそう言うと、ミヤギくんたちはぱあっと顔を明るくしてハイタッチをした。彼らを見ていると、なんだか嫌な気分が全て吹っ飛んでしまう。
「さっすが○○だべー!」
「それでこそ心の友!心友だっちゃわいやー!」
「その呼び方純粋にやめて?」
「プリン3つ買うよりかき氷買ったほうが安いのにな。あいつらバカだから気づかねえのか」
「いやあじゃけんど金払うてでも○○の作ったかき氷食いとうなるんはわかるわい。ほんまに美味いからのお」
「なんだよ、コージも食ったことあんのかよ。ふうん……おーい○○!俺にも作ってくれよー!心友だ・ろ?」
「おっほんじゃわしにも一つくれやあ!」
「ええー!?シンタローくんとコージくんまでっ…その呼び方やめて!」
こうして結局食堂にいる人たち全員にかき氷を作ってあげるはめになってしまい、最終的には私がかき氷を作ることは禁止になってしまった。
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