軍部体系とか。
デストロン、第3戦艦タイタニア内、科学分析室ーー。
「えー!サイバトロンとデストロンって軍部体系が違うんですかっ!」
科学分析官クイックミクスは跳ね上がって驚いた。すぐ近くに座って薬品の滴定を続けている科学参謀マグニフィカスは嫌な顔をしている。
「そんな事も知らずに生きてきたのか。愚かすぎて反吐がでる」
「んだトォ!ウチのかわいいクイックミクスによくも言いやがったな!」
クイックミクスの背にある銃が怒鳴り声を上げる。クイックミクスの自称保護者こと、ブーマーだ。ブーマーは怒鳴っているがマグニフィカスは気にとめることもなく化学操作を続けている。
「参謀!私、軍部体系について知りたいです」
「そんなこと自分で…」
ガタリと乱暴に扉が開き黒いトランスフォーマーが現れた。彼女は遊撃参謀デッドエンドだ。デッドエンドは科学参謀とその部下を見て、にっと笑う。
「マグニフィカス!オメェ、部下に何か教えてやんのかい?いい男だねぇ!!」
「クイックミクス、何が知りたいんだ。何でも教えてやろう」
突然手のひらを返したマグニフィカスの様子に、クイックミクスは思わず瞳を明滅させてしまった。
ーーー
【軍部体系】
コンボイ司令官が亡くなったことにより、サイバトロンは混乱に陥るかと思いきや、そこまでのダメージは受けませんでした。
最高司令官の座をコンボイの名誉席として開けているくらいで、大してコンボイ生前と変わりません。
サイバトロン軍:
(元帥クラス)
司令長 ハイブロウ
顧問 マイスター
軍属特殊警察長 ドレッドロック
↓
(大将)
第1司令〜第15司令
第1〜3艦隊長(司令と兼任)
防衛長
科学長
↓
(中将〜大佐)
各師団長
第4艦隊長(特殊部隊)
刑務長
諜報長
各戦艦艦長
各ベース長
↓
(大佐〜少佐)
各巡宙艦長
各監獄長
各駐在地長
特殊監査官
↓
(少佐〜中尉)
【いわゆる士官様。】
↓
(少尉〜曹長)
【下士官と士官の狭間。】
↓
(軍曹〜伍長)
【下士官・上位】
↓
(兵長〜一等兵)
【下士官・下位】
↓
(二等兵)
【サイバトロンではあまりいないが、ドベ。トレイルブレイカーやグラップルここ。】
現在のサイバトロンには余裕があるので、軍以外の組織もたくさんあります。ただし、やはり軍が強いです。
特に、軍属特殊警察[通称:軍警]は全ての人権すら剥奪できる権力があります。とても怖いけど、相当嫌われています。
ちなみにハウンドは、つい最近まで軍警で働いていました。
他にサイバトロンで特記しなければならないのは、公共機関では『赤瞳』トランスフォーマーは働けないことです。この世界で『赤瞳』はデストロンの象徴であり、サイバトロンの多くは『青瞳』で10人に1人くらい『黄瞳』や『緑瞳』がいる程度です。
あと、インセクトロンは皆『紫瞳』で、デストロンに属します。
ちなみに、
『青瞳』:規律型。温和かつ冷徹。
『赤瞳』:自由型。人情家で乱暴。
『黄瞳』:創造型。エキセントリック。
『緑瞳』:共生型。世渡り上手。
『紫瞳』:インセクトロン。他のトランスフォーマーと一線を画す。
と、言われています。
しかし、所詮はそのような傾向があるだけで、『青瞳』で非常に乱暴なものもいれば、『紫瞳』でもインセクトロン以外もいます。
最後にデストロンの軍部体系です。
メガトロン亡き後、デストロンは一時崩壊し、主要な参謀を多く失いました。(スタースクリーム、サウンドウェーブ、レーザーウェーブ、シックスショットなどが戦死しています。)
デストロンは結局、戦争をリーダー不在で乗り切りました。
メガトロン以外に荒くれ者ぞろいのデストロンをまとめられる存在はいません。
そこで、今は参謀議会と呼ばれる元老院で軍も含めた政治を行っています。
一応は参謀は30人程度いるのですが、派閥があり、参謀同士でも暗黙の内に力関係ができています。
また一般兵士は各参謀部に属します。
ただし階級は参謀副官、参謀部士官、参謀部下士官程度にしか分かれていません。
昔は参謀部将校もあったのですが、現在のところ、階級の差はサイバトロンと比較するとかなりフラットです。
デストロン:
各参謀・参謀書記長・特殊個体Sクラス
↓
各参謀副官・参謀書記官・特殊個体
↓
各参謀部士官
↓
各参謀部下士官・インセクトロン
↓
各参謀部ジョンドゥオフィサー(名無しの使い捨て兵)
ーーー
クイックミクスは手を打って喜んだ。
「わぁ!ありがとうございます、科学参謀!私、かなり詳しくなりました!」
「まぁ、いつでも聞きたまえ。な、デッドエンド」
科学参謀マグニフィカスは扉の方を振り返る。そこには誰もいない。
「あ、遊撃参謀ならさっき帰ったぜ」
ブーマーが言うと、マグニフィカスはラボの椅子を蹴り飛ばした。