地球へくるまで
産まれてこの方、あのバケモノは愛されたことがない。
背に背負ったリュックのようなものが何かと気になるか。
それには触れない方がいい。あれはバケモノの証だ。
もっとも死にたいのならば別である。
「小僧、気をつけろ」
ブリッツウィングは肩を押された。ニヤニヤ笑う人々の群れ。起動してまだ数メガサイクルも経たぬ機体は瞳を明滅させた。
それから、ちょっとだけ吼えてみた。
目の前にはバラバラになった機体のクズが溢れた。
すぐに重装備の兵士が現れる。ガタイのよい兵士がブリッツウィングを乱暴に掴もうとしている。
「お、おれ…何にも、してない。声しか出してない」
そう言ったのに、幾つもの手が伸びてくる。
ブリッツウィングは叫んだ。
ガバリと起きた。
コアの動作が不規則だ。
怖い夢を見た。
ブリッツウィングは頭を抱える。
怖かった。誰も助けてくれなかった。
あの人が来るまで、一人ぼっちだった。
難しいこと考えるの、苦手なんだ。
だって、バケモノだから。