- ナノ -

美しい本 3



真波くんに告白してから、数日が経った。

告白の翌日なんかはとくに、学校へ行くのが嫌で嫌で仕方なかった。
どうして告白なんてしちゃったんだろう・・・やっと、隣の席になれたのに。
きっと気まずいだろうな。真波くんはもう、話しかけてくれたりしないかもしれない・・・。

そう、思ってた。
ところが、だ・・・

・・・真波くんは、いたって普通だった。
告白の翌日でさえ、「おはよ」って卒倒しそうなくらい爽やかな笑顔で挨拶してくれた。
その後も、まるで何事も無かったかのように、教科書を忘れちゃったから見せてほしいとか、天気の話だとか、ただのクラスメイトのように話しかけてくれて数日が経った。






その日、私は例の友人と図書委員の当番だった。

今日の図書室は穏やかで、奥のテーブル席で読書をする生徒はいてもカウンターの業務は閑古鳥が鳴いていた。

まったく、本なんて何が楽しくて皆読みに来てるんだか・・・私には全くもって理解不能だった。そりゃ、カウンターで受付業務をする中で本の表紙を、ああ綺麗だなぁとか、おしゃれなデザインだな、くらいに思う事はある。
でも、手にとって中身を見てみようなんて思いもしない。

私も友人もそんな調子なものだから、当番の日はいつも控えめな声でおしゃべりをするのが定番だった。
本の好きな委員だったら、読書でもして過ごすんだろうか?
そういう人にとっては、図書委員っていいものなんだろうな。


部活動や学業に励む生徒が大多数なハコガクにいると、どうしたって「そうじゃない方」にこういった放課後の時間をとられる委員の仕事は押し付けられる・・・もとい、任せられる、というわけだった。
正直めんどくさいんだけど、でも仕方ない。
委員を断る理由になりうるような放課後の予定は、私には何も無いんだから。






「・・・真波くんてさ、どういう神経してるんだろうね。」


二人で図書室のカウンター内の椅子に座っていたとき・・・
まるで私の心の中でも読まれたかのような彼女のセリフに、ギクリとする。・・・でもそんな、まさか!真波くんに告白してフラれたなんて自殺行為、私は誰にも話しちゃいないのだから。
ましてや、私の真波くんへの気持ちを軽んじてるこの子になんて絶対、言うハズが無い。



「・・・なんのこと?」

なるべく平然を装って、そう聞き返す。



「隣のクラスの子、この前真波くんに告白したんだって。で、もちろんフラれたわけなんだけど・・・次の日も真波くん、めちゃくちゃフツーなんだって。他のファンの子も言ってたけど、まるで何事も無かったみたいにニコニコして、普通に話してくれるらしいよ。」
「ふ、フーン?!」
「・・・きっとさー、真波くんみたいな人にはワカんないんだよ。あんなにモテたらさぁ、片想いの辛さとか・・・気持ちを伝えるドキドキ感とか、そーゆーの。じゃなきゃフツー、フッた子と気軽に話なんかできないよ。・・・あんだけ何でも持ってたらさ、傷ついた人の気持ちなんて分かんないんだよ」


・・・まさか私の話じゃないよね?!
冷や汗をかきながら聞いていると、友人は遠くを見るように言った。


「イケメンだし、ロードレースも凄いらしいけど・・・才能のある人って、人のこと思いやったりとかできなさそう。好かれて当たり前、とか思ってそう。真波くんっていつもぼーっとしてて、何考えてんのかわかんないし」

「・・・そんな事ないよ。真波くんの何がわかるの?なんにも知らないクセして、勝手な事言わないで。真波くんは・・・っ、」


私は振られたクセして、彼が悪く言われるとカッと熱くなって黙ってはいられなかった。

だけど、途中まで言いかけて・・・そこから先の言葉が、出て来なかった。



今まで眺めてただけの私は、真波くんの内面の部分なんて・・・本当はなにも知らなかったんだと、気付いてしまったから。






「っ・・・忘れ物したの、思い出した。教室に、取りに行ってくる」

友人との気まずい空気に耐えきれなくなって、私はそう言って図書室を飛び出した。






人の少なくなった放課後の廊下を、私は逃げるみたいに走った。
ほんとは教室に、忘れ物なんて無い。
急ぐ理由も無い。行かなきゃいけない場所も無い。からっぽの廊下を、どうしてだか息を切らして走ってる。


恥ずかしくて、情けなくて、たまらなかった。
真波くんの事、なんでも知ってる気になってた。
だけど、なんにも知らなかった・・・そりゃそうだ。私はただ遠くから、見ていただけなんだから。
・・・図書室の本と、同じなんだ。
きれいだなって表紙をみてるだけじゃ、物語はなんにも始まるわけがなかったのだ。



−−−この気持ちは、愛なんかじゃ無いんだ。

だけどただの恋でもなく、きっと強烈な憧れなのだろう。

私とは違う、あなたの人生に。
いつだって私は、なんとなくで生きてて。なんとなく進学して、なんとなく日々を過ごして・・・まるでからっぽの廊下を、理由も無いのにただ走ってる、今みたいに。


走りながら私は、真波くんの事なんか好きにならなきゃ良かったと思った。
そしたら、こんな惨めな気持ちにならずに済んだのに・・・
友だちと喧嘩する事も、なかったのに。
・・・だけどこの恋を失うのはもっと怖くて、涙が出た。
たとえ自己満足で一方的な感情だとしても、私からこれを取り上げられたら、もう何も残らない。本当に、からっぽになってしまうから。

もし私が真波くんにとってのロードレースのように、夢中になれる何かを、恋愛以外にも持っていたなら・・・?
そしたら男の子にフラれたくらいで、こんなに悲しい気持ちにならずに済んだだろうか。








辿り着いたのは、自分の教室だった。
忘れ物なんて無かったけど、すぐに図書室へ戻るのも癪に触るし時間を潰してからにしようか。

扉を開けると、案の定そこには誰もいなかった。私は自席のある、教室の後方へと力無く歩く。

−−−ふと、真波くんの席の椅子に、カバンが置いてある事に気がつく。
不思議に思って手に取ると、リュックタイプのそのカバンのメッシュに通学用なのかロードバイクのヘルメットが入れられていた。・・・間違いない、真波くんの物のようだ。

なんだか急に胸が苦しくなって、私は思わずそのリュックを抱きしめた。

ふわり、爽やかな香りがする。
真波くんの香り、なのかなぁ?
そう思うと、頬を伝った涙がぽたぽたとリュックを落ちた。
・・・い、いけない。何してるんだ、私。



「−−−忘れ物したの思い出したから、教室に向かったんですってば。最後の平坦メニュー、サボったとかじゃないですよ。」



−−−突然、廊下から人の話し声がして、私は慌てて咄嗟に隠れる場所を探す。声の主がこの教室に入って来るとは限らないけど、もしも通りすがりざまにでもこんな所を見られては大変だ。ゼッタイ変な噂になって、また真波くんに迷惑をかけてしまう。
私は思わずリュックを持ったまま、教室の隅へ走りカーテンの裏へ身を隠した。


すると次の瞬間、ガララ、と音を立てて教室の扉が開かれた。
間一髪。
・・・まさか、声の主がここへ入って来るだなんて・・・。隠れておいて、良かった。

「え、オレがいなくなってから、明日の朝練のメニューが発表になった?・・・別に良いですってば、明日行ってから見るから。・・・もう、黒田さんってば・・・そんなに言うならソレ、メールでオレに送ってくださいよ。」


ホッとしたのも束の間、私は次の大変な事に気づく。

カーテンの中に身を潜めた私は、入って来たのが誰なのかこの目で確かめる事はできない。
でも、この声・・・
・・・ま、真波くんだ。


誰かと電話でもしているのだろうか、真波くんは話しながらゆっくりと自分の机の方へ歩みを進めた。

心臓が破けそうだった。
すこし考えれば、わかる事じゃないか。
カバンを忘れたって事は、取りに来るって事・・・。

どうしよう、と私は胸に抱えた彼のリュックを見つめる。なんて浅はかな事、しちゃったんだろう。
このまま彼が自分の席に辿り着けば、コレが無い事にすぐ気がつく。
そして辺りを見渡せば、私がここに居ることは簡単にわかってしまう。
カーテンの裏にひとまず隠れたとはいえ、ここはあまりに隙だらけだ。
廊下を通りすぎる程度ならばここに人がいるのはわからないだろうけど、カーテンに近付かれればスグにばれてしまう。この教室のカーテン丈は、丁度私の腰ほどまでしかない。頭隠して尻隠さず、まさにその言葉通りである。


・・・真波くん、どう思うだろう。
告白してきて振った女子が、誰もいない教室で自分のリュックを抱きしめて隠れてるだなんて。
・・・ああ、想像しただけでも恐ろしい。


「あ、じゃあさ黒田さん。そのメニュー、名前さんに渡しといて下さいよ。名前さんと、今日も一緒に帰るんで・・・着替えたら、オレの教室で待ち合わせしてるんです。・・・なんでわざわざ教室で、って・・・オレ、カバン忘れて来ちゃって。まさかですよねー、あはは」


通話が終わったらしく、話し声が途絶えた。
・・・私は、ただただ絶望していた。
たぶん、というか確実にこの後、私は真波くんに見つかってしまうだろう。
しかもこの場所で待ち合わせまでしているという事は、あろうことか彼女にまで知られてしまうのか。


「・・・あれ?・・・そこにいるのって」


−−−み、見つかった・・・

私はギュッと目を閉じて、この後に待ち受ける最悪の展開を覚悟した。


「・・・つかまえたっ。」


・・・何が起きているのか、その瞬間はわからなかった。

いきなり、真波くんの声がすぐそばで聞こえたかと思うと・・・それと同時に、カーテンの布ごとぎゅうっと抱きしめられてしまったのだった。
驚きすぎて、声も出なかった。


「・・・先に着いてたんですね。ふふ、かくれんぼのつもり?」



・・・えっ・・・?!ま、まさか。
間違ってる?
真波くん、私の事・・・名前さんと勘違いしてるんだ?!

カーテンの奥に隠れてて、向こうからは私の腰から下しか見えていない。
スカート姿をみて、待ち合わせをしていたという名前さんだと思い込んだんだろう。


「そんなイタズラばっかりしてる名前には・・・おしおき、ですよ?・・・えいっ、ぎゅーっっ。」



そう言って真波くんは、私を抱きしめる腕に力を込めた。
布越しとはいえ、彼に抱きしめられているという事に。
クラスにいても、ロードの試合でも、きいた事の無いくらい優しくて甘い声に。
私は幸福感と罪悪感で、胸がいっぱいだった。



「・・・ま、真波くん・・・ち、違うの、私なの・・・」


おそるおそる、そう言ってカーテンから顔を出す。目が合うと真波くんは真っ青になって、私から離れた。


「ええええぇぇぇっ?!・・・ごっ、ごめんっ・・・!オレ、勘違いっていうか、人違いしてて、」

「え、い、いや、謝らなきゃいけないのは私なの!突然人が来たから、ビックリしてこんな所に隠れて・・・紛らわしい事して、ごめんなさい。・・・それから、コレも。」


私が死にそうなほど緊張して差し出したリュックを、真波くんは「あ、ここにあったんだぁ」なんて、あっけらかんとして受け取った。


「いやー、びっくりしたー。てっきり名前さんだと思ったからさぁ。」

「・・・真波くんは、なんでフツウなの?」

「・・・え?」

「私、振られたんだよね?・・・そんな私が、真波くんのカバン持って隠れてたんだよ。普通、さけたり、気持ち悪いとか気まずいって思うんじゃないの。・・・私、ほんとに真波くんの事、好きだったのに。この気持ちが、私のすべてだったのに。・・・真波くんにとっては、取るに足らない出来事だったって事?部活とか、恋人とか、真波くんは他に大事なものをいっぱい持ってるから・・・?」







−−−こんなの愛でも、ましてや恋ですら無い。
自分の事をわかってほしくて仕方なくて、目の前の彼に一方的な言葉をぶつけてる。
・・・私が好きだったのは・・・"真波くんを好きな、自分が好き" なだけ、だったのかもしれない。




真波くんは驚いたように瞳を丸くさせてから、すこし遠くを見るように瞳を細めて言った。



「・・・わかるよ、ソレ・・・なんとなくだけど。・・・それに、キミに普通に振舞ってたの、そーゆーつもりじゃなかったんだ。嫌な気持ちにさせてたら、ゴメンね。」

「・・・え?」

「・・・告白するのが、どんな気持ちか。オレもさ、した事あるからわかるよ。・・・もし名前さんに振られたら、すげー悲しくて・・・多分、生きていけないくらい。・・・でもさ、だからってその後話せなくなるのは、オレならもっと嫌だから。」


真波くんはそう言うと、すこし照れ臭そうに頬を掻いた。

「好きな人にはさ、幸せになってほしいじゃない、やっぱり。できればオレがそうしてあげたいけど、彼女がそれを望まないなら・・・オレのいないトコでも、ずっとずっと笑顔でいてほしいっていうか。好きな子が笑ってくれてたら、もし振られても少し救われる・・・、オレなら。」
「・・・そうやって考えて、普通にしてくれてたの?何も考えてないフリして、振られた私たちの気持ちまで汲み取ってくれてたの・・・?」
「んー?・・・いや、そりゃ言い過ぎ。オレ、そこまでスゴい奴じゃないって。・・・なんとなく思ってただけだよ。でもこれって、ほんとに好きな人できて初めて思った事なんだ。」


そう言うと真波くんはもう一度、ごめんね、ってまるで自分が傷ついたみたいなカオして言った。

・・・その「ごめんね」は、なんの「ごめんね」なのだろうか。
恋をする気持ちは自分にも分かるから、私の告白に応えられない事に対してだろうか。
それとも、自分に好意を寄せてる私に、苗字名前さんへの想いを語ってしまったからだろうか。
・・・やさしいな。
どっちの「ごめんね」だとしても、真波くんは優しすぎるよ。
だってキミは、なんにも悪くないのに。

それに私、好きな人の心の内側を見せつけられても、もう苦しくなんて無いんだもの。
不思議と、嫌な気持ちなんてこれっぽっちも湧いて来なかった。

相手の幸せを望んで、笑顔であってほしいし自分がそうさせてあげられる存在でありたい、と堂々と口にできる真波くんの姿にむしろ、清々しささえ感じていた。
・・・だって、"なんで私を選んでくれないの?!"なんて頭に来てる自分とは、全く次元の違う話だ。


この人は本当に彼女の事が好きなんだろう、と思った。

・・・きっと愛って、こういうものなのかな。




「・・・"ごめん"は、私のほうだよ。なんにも知らないクセに勝手な事言って、ごめんなさい。・・・名前さんの事、ほんとに好きなんだね。」

私の言葉に真波くんは、えへへ、とはにかむように笑った。
真波くんの事、ほんとに知らないコトばかりだ。
・・・さっきの、彼女のことを話してるときの真波くん・・・あんな表情、初めて見た。好きな人の事話すとき、あんなに優しいカオするんだね。

「ほんとはさぁ、彼女できたときショックだったよ。・・・でもこれからは、応援するね。それから・・・レースも、また・・・見に行って良いかな・・・?」

おそるおそる訊くと、真波くんはすこしだけ瞳を丸くさせてから・・・ゆっくり、頷いてくれた。
そして、「ありがと」って言って、笑ってくれた。

−−−それは私が、真波くんからいちばん聞いてみたかった言葉だった。




真波くんは・・・かっこよくて、まっすぐで、優しい。
それが、"真波山岳"という美しい表紙で飾られた本の中身だった。
私が見ることができるのは、たった最初の1ページ程度にすぎないのかもしれない。・・・さっき名前さんと私を人違いした真波くんのやさしい声を思い出して、先のページを読む事が許されているのは彼女だけなのだろうと思った。・・・正直、すこしだけ寂しい。


・・・だけど、私・・・真波くんの事を好きになって、良かった。

彼の内面をはじめて知って、私は改めてそう思った。
たとえそれが、愛だなんて立派なものじゃなかったんだとしても。恋に恋しちゃってるような、憧れとの区別もつかないおまごとみたいなモノだったとしても。
切ないけれど、誇らしい気持ちで胸が膨らんだ。









図書室へ戻ると、相変わらずひと気の無い館内のカウンターに友人が一人で座っていた。私も元の場所に並んで座ると、彼女は「...ごめん」と小さく呟いた。

「・・・本当は、羨ましかったんだ。真波くんに恋してるのが、あんまりキラキラして見えたから。・・・言う通りだと思ったよ、真波くんの事よく知らないクセして、失礼な事言って・・・ごめん。」
「・・・こっちこそ。感情的になって飛び出したりして、ごめん。」

−−−キラキラして映ってるだなんて、夢にも思わなかった。

・・・だけど私ももっと、本当の意味で夢中になれる事を探さなくちゃ・・・探したい、とふつふつと胸に湧き上がる物があった。


私だって、真波くんみたいに。
自分だけの何かを、見つけたい。

−−−うん、そうだよ。
私はからっぽなんだから、きっとこれからいくらでも吸収できるはずなんだ。





「・・・私、ここの本でも読んでみようかな。」

そう呟くと、友人が驚いた様子で私を見たけど、かまわずに言葉を続ける。

「せっかくこんなに、あるんだし。もしかしたら、面白いかなって。」
「えー?図書室に来る人の事、何が面白くて来てるんだかって言ってたじゃん、図書委員のクセに。」
「・・・夢中になれる事、私も見つけたいなって。ただ外から眺めてるだけじゃなくって・・・その、内側に触れてみなきゃ、わかんないかなぁって。」
「・・・そっか。じゃあさ、バイトでもしてみる?図書当番の無い日。」



そうだね、せっかく観光地で暮らしてるんだし。
・・・そう答えてから、ふと、緑豊かな美しいこの町に生まれ育った事だって当たり前ではないのだと気がつく。
そう思うと・・・「私は何も持っていない」だなんて、本当はそんな事からしてまず間違っていたのかもしれない。

この町に生まれたこと。
たんさんの本に囲まれた環境にあること。
本音を伝えてくれる友人がいること。

いま見つけただけでも、私はこれだけの物を手にしてるんだ。
・・・一歩、踏み出さなきゃ。表紙を開いてみないとわからない事が、この世界にはいくらでも広がっているのかもしれない。
なんとなく生きていた世界にも、たくさんの可能性が転がってるんだ。

なにも持って無かったんじゃない・・・見ようとしなかった、だけだったのかもしれない。




ふと見た図書室の窓の向こうから、燃えるような夕焼けが無数の本たちを照らしていた。
上空はもうかなり彩度も落ち、深い深い青色で・・・

私は、あの瞳を思い出していた。

・・・いつか私も、本当の恋ができるだろうか。
その人のためならって理由をちゃんと胸に持って、行き先も持って、息を切らして廊下を走れるだろうか。
いつか・・・自分のためじゃなくて、誰かのために。






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