□0807 じゃがいも

□0807 じゃがいも



どうでもいい昔話。
付き合ってくださるなら……









昔、あたしがまだ
小学校二年生くらいのころ
ふと思い立って
両親に、なにか作ってあげようと思い
じゃがいもを茹でてケチャップであえたような
とても美味しいとは言えないような料理を作ったことがあった。


今は、じゃがいもを剥いて茹でるだけの15分くらいの作業が
その頃は、4時ぐらいから作り始めて二時間ぐらいかけて完成させた気がする。
おばあちゃんと2人
両親がどんな顔をするのか
楽しみだねって話ながら作った。

慣れないピーラーを使って、
自分の背丈くらいの台所で…

やっと完成した代物は
見た目は悪いし、って感じだった。


両親は共働きだから
いつも7時30分くらいに帰ってくる。
それまで、わくわくしながら待ってた。


お母さんは、嬉しそうに食べてくれたんだけど
父は違った。


「このじゃがいも、芽しっかりとった?」


って聞かれた。

今考えれば、
じゃがいもの芽は毒があるから
そう聞かれても仕方ないって思えるけど

その時のあたしは
ただただ両親の嬉しそうな顔が見たかっただけで
まさか、そんなこと聞かれると思ってなくて
自分が良かれと思って作ったものが
本当は、よくないことだったんじゃないかって思えてきて

どこからともなく
涙がこぼれ落ちた。

泣いてるのを見られたくなくて
必死にこらえたことを、
今でも覚えてる。


父が聞いたことは
間違ってない。

間違ってないけど、
あたしは見習いたくはない。


高校生になった今でも
ふと、思い出すことがある。

それだけ、心に焼き付いて離れない出来事。

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