最悪だ。
精神を持ち、高濃度の時間を過ごした私"名前"は、この間ニンゲンを乗せた艦に投降させられた。私と話をするために、ハッチから出てきた彼は、手足が長く、すらりとした印象。糸目で、どこか北の首相に似ている。
「貴艦のコードを回収した。一時間のうちに哨戒圏を抜ける事、後早めにクラインフィールドを修復し、不能部分をパージしろ」
無駄のない話し方で、私に指示を出した。コードをロックされている以上、従うほか無い。
「…どうも。クラインフィールド、修復開始。使用不能なナノマテリアル、パージ」
彼は満足そうに笑い、艦は戻っていった。 なんて失態だろうか。あいつは、最近霧を撃沈する事が出来た唯一のニンゲンとして巷で有名な『柳蓮二』だ。ヤマトの貴下だった401を何があったか、その柳を艦長にした。
信じられない。霧の勅命に背くなんて……。私は心中穏やかで無く、初めて不安を感じた。
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