刺客到来  [ 1/7 ]




「はあ?中学生が来る?此処に?」

大口を開けてかぶりついたトーストのくずが口の端からこぼれた。

「ああ。なんでも、50人もくるらしいぞ」

正面に座ったそいつはもくもくと納豆を混ぜる。

「ふうん、骨のある奴が来るとよかねえ」

ぱしゃり。至極真剣な顔をした徳川を惷は写メった。

もう一度トーストにかぶりつき、堪能する。

…随分と、ここの生活にも慣れたものだ。

「惷さん。なぜ今撮られたんですか」

「んー?今日のブログのネタたい」

ガタリ。徳川は立ち上がって惷のガラケーを奪い取った。

ああー、返してくんなっせ、カズヤ!

どうやったら消せるんだ…!

平穏ないつもの事だ。

私は通り過ぎ様に徳川からガラケーを奪い、画面をみて吹き出した。

さすがは惷だ。真面目な顔で納豆を混ぜる徳川がブレなくうつっている。これは傑作だ。

「おいみょうじ、何をしてるんだ早く消せ」

徳川はあっと言う間に惷に捕まり、手の中でばたばたと暴れている。

「やだ」

ついでに捕獲されている徳川も写メる。ぴろりーん。

それを手早く何人かに一斉送信した。

ほぼ同時に周りから着信音が聞こえる。

「昨日の仕返し」

食堂からでていく私の背中に、徳川の呻き声と入江の笑い声が聞こえた。




  
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