「ああ、その子にはあまり水をあげすぎないで。あげすぎると枯れてしまうから。」


幸村君はほんとうに花に詳しい。庭園の花は全て彼の管理下にあるらしく、一つ一つ丁寧に説明してくれた。


彼の花に対する姿勢を見たからなのか、私はお花に興味を持てた。なにか、育てようかな。


そうこうしてるうちに陽が暮れはじめ、私たちは片づけを始めた。


軍手を脱ぎ、額に浮かぶ汗を拭う幸村くん。ところどころ土がついていたりするのにも関わらず、それでさえも似合う。


「絵になるなあ……」


思わず私はそう呟いた。

幸村くんはその言葉に一瞬目を見開き驚いたものの、すぐに笑顔に戻ってこう言った。



「当たり前だろ?俺は何でも似合うんだから。」



……ん?



「あー、猫被るの疲れちゃったなあ、もういいよね、みょうじさん?」



え、ごめんなさい状況読めない。あいきゃんとあんだーすたんど。



「君に対して猫かぶりしても利益なさそうだから素でいかせて貰うよ。あー楽だなあ」




……前言撤回。全然いけめんじゃなかった。性格が。



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