はぁ、と小さく分からない程度のため息をついて柳生くんに向き直る。

「で、何?」

ここ二日くらいテニス部の知り合いに嫌と言うほど幸村の話をされていた。みんな暇なのかよ、テニスしろ。はあぁ、と分かりやすくため息を吐くと柳生くんはおや、と言った。

「…そのご様子ですと、もう沢山話をされたのでしょうか?」

何かを察したようにくすりと笑い、世話焼きが多いですからねえ、とだけ彼はこぼした。世話焼きどころかみんな見事に納豆並の粘着だと思うけどなあ。

「では、質問を変えさせていただきます」

くいっ。柳生くんは眼鏡をおなじみのポーズで押し上げ、私の事をまっすぐ見て一言言った。

「仁王くんの、ことなのですが。」

へ、と思わず間抜けな声を漏らした。何で仁王?そういえば、此処最近仁王を見かけなかった気がするけど…

「彼は最近学校に来ていなくってね。連絡もつかないのです」

そんな大変な事を言っている柳生くんは余りにも冷静すぎて、なんだか事の重大さが薄れてしまった気がした。




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