「手伝うぜよ」

放課後、みんなが帰った後の花壇。

部活も引退して暇そうだった仁王がふらりと手伝いに来てくれた。

「ありがと」

口数も少なく、黙々と作業をすすめる。

最近では、切原くん以外のレギュラー陣がちょくちょく手伝いに来てくれる。

…新しく部長になった切原くんは、相当努力しているらしい。何しろ、本人のプレイスタイルがチームメイトを傷つけてしまうことも多々あるらしく、その“デビル化”を抑制する練習を柳としているらしい。

あいつが居なくてもこの立海の時は動いている。

その事実が一番怖いことだけど、それに慣れてきている皆だって同じはずだ。

幸村が一番それを恐れている。

だからきっとみんなを拒絶した。

そんな弱かったあいつは私に爪痕を残そうと、こんなにもメールを送りつけてくるのか。

「さっきからおまんの携帯、うっさいぜよ」

「仕方ないじゃん、幸村からメール着てるんだもん」

「えっ」

仁王は作業する手を止めて、私が操作する携帯を覗き込む。

「うわぁ…あいつもなかなかしつこいナリ」

作業している短い30分の間にすでに10件。ちなみにひとつも返信していない。

「ね、こいつこんなにメールしてくんの?」

ひとつひとつメールを開封していく。うわ、また笑顔の写メつきだ。

「いや…むしろ少なすぎる感じだった気が」

「嘘だろ」

やめた。パタンと携帯を閉めて、思わずため息をつく。



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