「すみません、遅れました!」 私の睡眠はものの二分で終わりを告げた。気づいていなかったが、もう委員会開始時間を過ぎていたらしい。 その遅刻してきた人は、芥子色のジャージを羽織ったまま私の隣に腰掛けた。 あ、もうここしか開いてないからか。 そんなことを考えているうちに私はまた(何回目かの)夢に落ちていった。 「…さん、みょうじさん、」 ぽふ、頭に柔らかい感触。それと同時に涼しいアルトが響いた。 先生の声と違い、随分と爽やかに起きられた気が…… 遅刻してきた例の彼は、私の頭に手を乗せたまま、優しく微笑んだ。 「目、覚めた?」 「…は、え、うん」 男、だよな。 彼が身に纏うのは立海の男子テニス部のジャージ。 だか、女と見間違うほどの美貌である。ガッデム。 「気持ちよさそうに寝ていたから、当番は俺が決めておいたよ。宜しくね。」 ま、また私は自らの欲求に身を任せて勝手に決められたのか…! ありがとう…と言いつつうなだれる私を見て彼は眉を下げ、可愛らしくこう言ったのである。 「全部俺と同じにしちゃったんだけど、嫌だったかな?」 滅相もございません、 [prev|next] top |