お昼。いつも通り集合した屋上に幸村くんの姿はなかった。 昨日あの後幸村くんは心配ないよ、とだけ私に伝えて帰っていった。何が心配ないんだろうか。わけがわからない。 「おーっす。今日幸村クン早退らしいぜぃ」 丸井くんは珍しいよなー、と言いながらご飯を食べ始める。やっぱり、どこか悪いんだ。 「あれ、真田くんは、?」 辺りを見渡しても彼が居ないので、柳くんに聞いてみた。 「ああ、弦一郎なら先程電話で出ていったぞ」 えっ、真田くん携帯あるんだ!?知らなかった。 そんな風に失礼な事を考えて居たら、真田くんは屋上に駆け込んできた。 …何かがおかしい。 「真田くん、」 声をかけた刹那。 「精市が倒れた」 真田くんはそう告げると、落ち着かない様子で辺りを見渡す。まるでいつもの厳格さがなく、焦りに焦っている顔。 次第に事の重大さがわかり、私たちは慌てて病院の場所は、とかなんで倒れたんだ、とか色々聞き立てた。 「原因は、わからんそうだ……面会はまだ出来ない。だから、…俺達は会えない」 ここ数日の幸村くんの行動を見ていればわかったはずなのに。 なんで、なんで病院に行くよう勧めなかったんだろう [prev|next] top |