カラン! 少し大きめの音が庭園に響く。 「幸村くん?大丈夫?」 最近幸村くんの動きが少し鈍い。前はしゃきしゃき動いて居たのに、最近はまるで四肢に気を使うような感じだ。 「……っ、すまない」 幸村くんはいつも悲しそうな顔をして謝る。日に日にその表情は沈んで行った。 「…あのさ」 お節介、だとは思うけど。 「少しは私の事、頼ってくれたって良いんじゃない?」 どう見たって幸村くんは辛そうだ。もちろんテニス部のメンバーだって居る。 でも、彼らの前で幸村くんは常に部長であった。弱音を吐かない、強い、凛々しい。そういったイメージだろうか。 勿論それも幸村くんだ。 でも、それだけが幸村くんじゃない。 「……ありがとう」 そういって微笑んだ幸村くんはやっぱり悲しげだった。 [prev|next] top |