To 仁王 From みょうじ 本文:仁王、聞いて貰いたいことがある。三時に南渡り廊下な。 簡単に用件だけを書いてメールを送ると、すぐに了解、とだけメールを返してきた。 三時。すべての授業を終えて私は南渡り廊下の柱の陰に座っていた。第二のサボり場所である。 「ずいぶんと狭いとこに収まっとるのう」 ひょっこり仁王は現れて私の隣に座った。 「…で。」 仁王は早く言え、と小突いてきた。 「……ごめん。」 絞り出した声が震えた。今までのことを一気に思い出す。 「…わかっちょったけど、やっぱ辛いのう、」 答えた仁王の声も、負けず劣らず震えている。 「……一緒に飯食べようって言ってくれて本当にありがとう、っわ、私、嬉かった、」 我慢しきれず泣いてしまった。泣きたいのは仁王の方なはずなのに、泣くな、泣くな私、っ! 「……反則ナリ、」 くしゃり。仁王は顔を背けて私の頭を乱暴に撫でた。 「こ、れからも一緒にご飯、食べてくれる……、?」 「……もちろんナリ。ありがとな、なまえちゃん」 しばらく私と仁王はそのまま鼻を啜り続けた。 [prev|next] top |