「大体予想は付いたけど。…気に食わないな。」 そういいつつ幸村さんは私の手を引き、庭園の中にあるベンチまで連れてきて座らせた。 「で?何されたの。」 「へっ!?何もされてませんよ!?」 ハグは含まないよねそうよね! 「さしずめ抱きしめられたって所かな?」 「だっ、抱きしめられてなんか、うわあっ!?」 見抜かれた!何この人エスパー!?そう思うと同時に私は強く手を引かれた。 「……仁王が良くて俺が駄目なんてありえないもんね?」 えっと。今の状況。私は幸村さんにほーるどされています。 …あ、なんか良い匂い。この匂い好きだな。 じゃなかった! 「はははは離してください!」 「やだ」 わざと耳元で話す幸村さんは確信犯だ。私、幸村さんの声好きだな。 「あと五分だけで良いから、このままで居させて?」 そう言って幸村さんは私の肩口に顔を埋めた。 柔らかい青みがかった髪が視界に写り、なんだか私はものすごく消えてしまいたくなった。 [prev|next] top |