その日の放課後。私と幸村くんは二日連続で美化委員の仕事をしていた。

なんでも今日当番の子がお休みしているらしく、たまたま先生に見かけられたらしい幸村くんは今日の分も引き受けてきたらしい。本当に花がすきなんだなあ…。

でも、今日の幸村くんはなんだか機嫌が悪そうだ。普段ならかなりの頻度で話しかけてくるのに、今日はお口みっふぃー、とばかりに何も話さない。

何、何か私やらかした!?

「……ねえ」

悶々と考えながら作業を進めていたら、堅く閉ざして居た幸村くんはやっと口を開いた。

「はっ、はい」

やべ、ちょっと噛んだ。

「仁王と何があったの」

「は」

そのこと?それ?なんか私やらかしたとかじゃなく?

「な、んにもないよ?」

目も体も逸らして答える。ああ、触れないで!Don't even ask!!

「なんかあったんだろ、吐けよ」

吐けよ!?お口が悪いです神の子!!

「ほら、はやく」

ぎりり、いつの間にか掴まれていた手首が痛む。

「っ、なんか、よくわかんないこと言われただけです!……だから離してください」

幸村さんは眉間に刻まれた皺を更に深くした。



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