「それで?」

じろり。見下すように正座する奴を上から眺める。

「幸村に昼テニス部と飯食わん理由聞かれたけえ、言うたらなんか……目の色変えよって……」

ごにょごにょ、仁王の声は尻窄みになる。ただ今私は仁王の尋問中だ。

なぜ昼が一緒になったか。なぜ幸村くんが私のメアドを知っていたか。

まあ幸村くんの態度とかからして怖くて断り切れなかったんだろうとは思うが、このやるせないイライラを銀髪にぶつける他ない。……今八つ当たりっつった奴、はい画面の前で正座な。

「……あっそ。まあいいや」

あまりにも落ち込むから、かわいそうになってきた。仁王が犬なら尻尾も耳も下がっているだろう。

「……なあ?」

ゆっくりと胡座をかいた仁王はおそるおそる私に声をかけた。

「……なまえちゃんは、幸村のことどう思っとる?」

「面倒なやつ」

「一刀両断やの」

けらっ、と笑った仁王はこっちきんしゃい、と隣の日向のコンクリートをぺちぺち叩いた。
私はおとなしく横に座る。

「ねえ、にお……」

その瞬間。私の目にはいつになく真剣な仁王の顔が映ったとほぼ同時に、暖かい仁王の体に包まれていた。





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