side-S.Yukimura

「ねえ、みょうじさん」

俺が彼女に声をかけたとき、彼女はすっかり夢の中だった。純粋な寝顔に思わず顔が綻ぶ。

あまり口には出さないが、彼女は頭の中で沢山の事を考えているらしい。表情が微妙に変わるのだ。蓮二は昔間違いなく目を閉じたまま歩けてるなんて、と彼女に言われたらしい。もちろん、蓮二の推測だけれど。


そうこうしているうちに、俺のスケッチブックには机の上で寝ている彼女が出来上がっていた。
その絵に色鉛筆で色を足して行く。太陽に照らされて、気持ち良さそうに寝ている彼女は描いていて凄く楽しかった。

「……できた。」

自分でもなかなか満足行く出来だな、としげしげ絵を見つめていたところ、どうやら彼女の目が覚めたみたいだ。






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