「しゅーいーちろー!」
特徴のある頭、前方二十メートルに発見。お、菊丸さんも横に居る。
とりあえず全速力で走って、その背中に飛びついた。
「う、わっ!なまえ、危ないじゃないか!」
そうはいいつつ抱き着いていることには怒らないからやっぱり好き。
私は青春学園中等部一年のみょうじなまえだ。ちなみにさっきから私が愛してやまないのが、青春学園高等部三年、大石秀一郎だ。
私より五個も上である。
「あー、おーいしモッテモテー!いいにゃー!」
大石と仲の良い菊丸くんはぶー、とわかりやすく拗ねる。こういう人、かわいいって言うんだろうな。
…でも!私は秀一郎が一番!そう思いつつぎゅううう、と抱き着きなおすとぐえ、と苦しそうな声を上げた。
秀一郎は私が何をしても怒らない。心配になるくらいに。
…私、年下だし。わがままばっかり言ってるけど。
「…しゅーいちろー、」
「ん?」
「…嫌なら言ってよ。」
嫌われたくはない。失いたくないんだ。
勇気を出して言ったのに、秀一郎ははは、と笑い声をあげた。
「ちょっと、私は真剣に…!」
言いかけた唇を秀一郎は指でとん、と塞いだ。
「俺はね、迷惑ならちゃんと迷惑だっていうから。気にしなくていいんだよ。」
「…!」
へへ、やっぱ秀一郎は優しいや!
元ネタ:わがままコレクション/AKB48
2013.11.19 おいこに捧げます。