「このようにして喫煙にはたくさんの危険が伴い……」
うげ。仁、肺癌とかなるんじゃないの。
保健体育の時間。私は喫煙に伴う危険について学んでいた。何しろ彼氏の亜久津は札付きの不良で煙草吸うからな……ちゃんと聞かなきゃ。
「煙草からでる煙は有害であり、しかも吸っている本人より吸われている煙草の煙を吸い込む周りの方が癌にかかる可能性が高くなります」
へえ、副流煙の方が危険なんだ。
「えっ!?じゃあなまえやばいじゃん!」
友人は大声で私を指さした。え、ちょ、
「亜久津くん吸うものね。これをきっかけにやめてくれないかしら。」
------------------*
「……って事があったんだけど。」
「……煙を吸うお前が危ねーのか」
仁は珍しく真面目に話を聞いてくれた。でも禁煙はきっとしないんだろうな。
「らしいねー」
ぐしゃり。仁の手の中でたった今火が付けられた煙草は揉み消された。あー、もったいない。
「……煙草辞めてやる」
「へ?」
「お前が危ないなら、煙草なんざやめてやる。」
仁はそういって持っていた煙草を伴田先生に押しつけに行った。
……ちゃんと考えてくれてたんだね。