幸村姫
俺はお妃に頼まれ、とある国の姫を殺しに来た。お妃はそいつが美しすぎるのを妬み、猟師である私に撃ち殺す命を出したのである。
指定された森に入り、音を立てないようにゆっくりと探す。
その時だった。木の影から見えたのは美しい蒼い髪、すっと通った鼻筋、色素の薄い白い手。間違いない、あれが姫だ。
私はそっと背後からにじりより、銃を構える。ゆっくりと引き金に手をかけたその時……
ぐしゃり。
姫の手の中で赤い林檎が潰されてい、……潰されている?
そして姫は振り返りこう言った。
「残念だね。俺は姫じゃないよ。」
透き通ったハスキーボイスで。私は余りに衝撃的で、そのまま意識を飛ばしてしまった。